コロナウイルスを契機とした遠隔診療の大幅な規制緩和
フランスにおける新型コロナウイルスの被害は甚大で、2020年6月3日時点で累計感染者数は約14万8000人、累計死亡者数は2万8000人超(人口10万人当たり感染者数220.83人、死亡者数43.12人)となっている。
感染者数が日々100人単位で増加していた2020年3月、フランス政府は、インターネット等を介して医師の診察を受けられる遠隔診療に関する従来の規制を時限的に緩和した。規制緩和の目的は大きく分けると2つあり、1つは可能な限り他者との接触を避けることで、新型コロナウイルスの感染拡大を防止すること、もう1つは、新型コロナウイルス以外の病気を抱える人々に対して医療機関のアクセシビリティを向上させることである。医療機関を訪問することによる同ウイルスへの感染の不安や、医療現場の繁忙状況から、何らかの疾患を抱える患者らが通院を躊躇してしまい、そのせいで病状が悪化してしまうといった懸念されたためだ。