自治体幹部交流協力セミナー 岡山県高梁市
一般財団法人自治体国際化協会交流支援部 交流親善課
2023年11月20日から24日にかけて、日本自治体研修プログラムの一環として、フランス自治体幹部4名が東京都と岡山県高梁市を訪問しました。
CLAIRは毎年、CLAIR海外事務所が募集した海外自治体の幹部職員を招聘し、日本の地方自治体が持つ諸課題について意見交換を行い、地域の現状を視察・体験してもらうことにより、日本の地方行政施策に対する理解をより一層深めてもらうことを目的としたプログラム「海外自治体幹部交流協力セミナー(Programme d'étude de l'administration locale japonaise)」を実施しています。
まず、東京都では明治大学の木村俊介教授から講義があり、日本の地方自治制度に関する包括的な説明が行われました。この講義は、日本の地方自治体の役割と、国の政治・経済システムへの関わりなど、日本の社会基盤に対する理解を深めました。
木村教授の講義での意見交換
つぎに総務省を訪れ、地方自治体で介護福祉分野に携わった出向経験者から日本の高齢者福祉制度に焦点を当て、介護保険制度の枠組み、地方自治体の役割、高齢者へのサービス提供システムなどについて説明がされ、意見交換を行いました。後に高梁市を訪れた際、ここで学んだ日本の高齢者福祉制度の知識は実務の現場を理解する上で貴重な機会となりました。
総務省での記念写真
高梁市でははじめに市長みずから市の概況について説明がされました。
高梁市では①地域とつながる高齢者の居場所づくり(La naissance d’un lieu de communauté pour les personnes âgées)② 「ジャパンレッド」発祥の地を世界へ発信~観光交流人口の拡大を目指して~(Plan de promotion touristique - l’ocre rouge de Fukiya dans le monde entier !)2つのテーマでセミナーを実施しました。
まず高梁市役所健康福祉部の担当者から介護予防の取り組みについて説明を受け、地域ボランティアで運営する通所型施設を訪問し利用者と交流しました。
高梁市役所にてトリコロールで暖かく参加者を迎えてくれた様子 |
高梁市長による市の概況説明 |
地域ボランティアにより運営される通所型施設での実際のレクリエーションを体験
つぎに、備中(びっちゅう)松(まつ)山城(やまじょう)や吹(ふき)屋(や)地区(ちく)を訪れ、地元の方や市の担当者から話を聞きながら、歴史や地域を支えた産業跡の保全と観光活用について学びました。また、国の重要無形民俗文化財である備中(びっちゅう)神楽(かぐら)[1]を演舞する子どもたちとの交流もありました。
備中神楽を舞う地元の子供 |
市民ガイドからの説明。吹屋(ふきや)地区は銅の産出で栄えた |
最終日には再び東京へ戻り、東京都庁を訪れ、都議会などを見学しました。議会のシステムや選挙制度について学び、日本とフランスの地方議会制度の違いについて活発な意見交換がされました。
東京都庁の都議会にて
いずれのセミナーも参加者からは高い関心が寄せられ、総務省、東京都庁、高梁市の担当者からも参加者へ多くの質問がなされました。このセミナーをとおして、日仏双方の自治体関係者が抱える課題について活発な意見交換が行われ、両国間の繋がりが強化される貴重な機会となりました。
参考リンク:
[1]備中(びっちゅう)神楽(かぐら)は、日本の備中(びっちゅう)地方に伝わる伝統的な神道の舞台芸術です。もともとは、荒神(こうじん)様(さま)を祭り、豊作や家内安全を願って行われた神聖な舞です。荒神様は恐ろしい神ではありますが、厄を払い、農耕や家畜を守る神として信仰されています。この舞はもともと荒神様の魂を安らげ、五穀豊穣と、家内安全を祈るために行なわれたものですが、江戸時代末期に、神話を基にした新しい舞が加えられ、人気を集めました。現在では、地域の祭りや町おこしのイベントで披露されることが多く、1979年には日本国の重要無形民俗文化財に指定されました。
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