農業食品分野は熊本、再生エネルギー分野は福島、次はライフサイエンス分野… 多彩、多様な日EUの地域連携グッドプラクティス=日欧地域連携ウェビナーシリーズ
クレアは、日本と欧州の間で地域の産業連携(地域の産業クラスター、自治体等による産業面における連携)を促進するため、2020年11月から新たにCEEJA(アルザス欧州日本学研究所)と協力して「日欧地域連携ヘルプデスク」を開始しました。(詳細な内容はこちら )
日欧地域連携ヘルプデスク事業では、日欧のクラスターや地域間の好事例を紹介するため、2021年1月に2回のウェビナーを開催しました。以下では、ウェビナー概要をご紹介します。
また、ウェビナーの動画及び資料はヘルプデスクのホームページにて公開しています。
→ 第1回ウェビナー「農業・食品産業イノベーションでのウィン・ウィンな関係を築いた10年」(1/8)
九州バイオクラスター協議会(熊本県) - ヴィタゴラ(デジョン(フランス))
→ 第2回ウェビナー「再生可能エネルギーと地域活性化に向けて発展するパートナーシップ」(1/26)
エナジーエージェンシーふくしま(福島県)-エネルギーエージェンシーノルトライン=ヴェストファーレン(NRW州(ドイツ))
→ 第3回ウェビナー「健康関連ライフサイエンスビジネスを支援する日欧マルチパートナー連携」(3月中旬を予定)
大阪バイオ・ヘッドクォーター(大阪府)-bioXCluster(バイエルン(ドイツ)・オーベルニュ=ローヌ=アルプ(フランス)・ピエモンテ(イタリア)・カタルーニャ(スペイン))
第1回ウェビナー「農業・食品産業イノベーションでのウィン・ウィンな関係を築いた10年」
2021年1月6日に開催された第1回ウェビナーでは、「農業・食品産業イノベーションでのウィン・ウィンな関係を築いた10年」をテーマに、九州地域バイオクラスター推進協議会(KBCC)とヴィタゴラ(仏、農業食品イノベーションクラスター)との地域連携の好事例を取り上げた。
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① 開会
日欧産業協力センター専務理事・駐日欧州連合代表部公使参事官 Philippe de Taxis du Poët氏
② 講演1「九州各地の食品機能性開発」
九州地域バイオクラスター推進協議会プロジェクトマネージャー 森下 惟一 氏
③ 講演2「ヴィタゴラ 農業食品イノベーションクラスター」
ヴィタゴラ国際開発担当課長 Bérangère Moindrot 氏
④ パネルディスカッション
ヴィタゴラ日本オフィス 小倉ルメートルはなえ 氏
ヴィタゴラ国際開発担当課長 Mrs Bérangère Moindrot 氏
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 研究管理役 後藤 一寿 氏
九州地域バイオクラスター推進協議会プロジェクトマネージャー 森下 惟一 氏
(一財)自治体国際化協会パリ事務所長 羽白 淳 氏
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① 開会
日欧産業協力センター専務理事・駐日欧州連合代表部 公使参事官 Philippe de Taxis du Poët 氏
KBCCとヴィタゴラの連携は、3つの理由により、国を越えた地域連携の模範となっている。
1.日欧双方のクラスターが、地域レベルで不可欠なものとなっている。
(クラスターは地元に立脚しているため、地元地域の経済振興に重要な役割を果たす。)
2.双方の関係構築が、東京等の大都市でなく、地方で行われていること。
3.食品・農業産業分野は、日欧の経済連携協定の中で、非常に重要な分野であること。
アフリカやラテンアメリカ等の第三国に、日欧が協力して進出するというトレンドがある。ビジネスの友人として日欧のクラスター連携を進め、共同プロジェクトを実施することが重要。
② 講演1「九州各地の食品機能性開発」
九州地域バイオクラスター推進協議会 プロジェクトマネージャー 森下 惟一 氏
フランスの食品産業クラスター ヴィタゴラとの連携のきかっけは、日本で開催される展示会(バイオジャパン)にてフランスでの出会いから。
本連携には、「食と健康」をテーマに、中心となる4項目がある。
1.植物を利用した産業協力
2.発酵を中心とした微生物利用の協力
3.人の健康に関わる協力
4.情報交換に関する協力
取組
1.視察、ビジネスマッチング
フランス、九州それぞれで商談会を実施し、互いに参加。
※KBCCは、フランス企業との契約を日本企業の代理で行うなどの支援を実施
2.フランス製の製品を使用し、新たな商品を日本で開発
・家畜の健康に配慮したフランス産の飼料を生かし、九州の事業者が日本市場にあわせた商品を開発。
・フランスのパッケージデザインや説明を、日本市場での商品開発に活用。
3.日仏市場の情報交換等。
KBCC会員がフランス市場の情報を入手し、新たな販路を開拓。
海外連携の課題
輸出入に伴う法令やコストの課題は、中小企業単独では解決できない場合が多い。
⇒KBCCが、企業同士のコミュニケーションを繋ぎ、円滑にする産業交流のためのプラットフォーム機能を発揮。
今後の取組
・ヴィタゴラの熊本県庁内オフィスと協力しながら、双方での販路開拓や商品開発を行う。
・コロナ禍においても、SNSなどを利用し、互いの情報を交換する。
・「食生活と健康を科学する」という視点で、ヴィタゴラとの連携により様々な産業のイノベーションを生み出す。(体に良く美味しい食品や互いのライフスタイルに合う食品の開発、利用者と生産者を互いに繋げる。)
③ 講演2「ヴィタゴラ 農業食品イノベーションクラスター」
ヴィタゴラ 国際開発担当課長 Bérangère Moindrot 氏
フランス農業食品イノベーションクラスター「ヴィタゴラ」は、2020 年10 月1日、日本オフィスを熊本県庁産業支援課内に開設した。
進出先が日本及び熊本だった理由
・国際展開のため、世界の複数地域にて、市場の可能性、消費トレンドなどを調査し、日本が進出先に適しているとの結果が出た。
・日本人は、文化の違いはあるが、食の品質、健康や環境に良い食品に興味を持っている点など、フランスと食に関する類似点が多い。
・日本は、科学技術で農業食品を含む多くの分野での世界的なリーダー。
・農業と食のポテンシャル、訪日の際に培った人脈、農研機構からの助言、毎年KBCCとフランス企業が互いに行き来している関係から、熊本県庁内へオフィスを構えることとなった。
進出においての援助
・外交的な側面が、非常に重要。
・駐日フランス大使館の支援により、日本での活動初期から、ヴィタゴラの信頼に繋がり、迅速に、適切な相手にアクセスできた。
今後の取組
・日本オフィスを中心に、KBCCの欧州への展開を支援。
・発酵等に関するビジネスの拡大。
・日本オフィス設立にて、連携のきずなを強化し、互いの発展のため、双方のノウハウを伝えあう。
その他
・日本は上下関係を重視することから意思決定は遅くなりがちで、日本の組織と付き合う際には、急ぎすぎないことが重要。
④パネルディスカッション
ヴィタゴラ日本オフィス 小倉ルメートルはなえ 氏
Q日本オフィスを設置することの重要性について
Aパートナーの近くにいて、強い信頼関係を作り育てていくことが成功の鍵だと考えている。
文化、言語やビジネスアプローチなど、日仏間の違いは大きい。日本は、意思決定に慎重であり、気配りと尊重が日本とのコミュニケーションには必要であるなど学ぶことができたことは大きい。
ヴィタゴラ国際開発担当課長 Bérangère Moindrot 氏
Q熊本県に日本オフィスを設立した理由
A熊本の訪問団がヴィタゴラを訪問するなど、関係性ができていた。県庁内にオフィスを設置したことによりヴィタゴラへの信頼性が向上した。
Qパートナーが果たした役割について
A農研機構がキーパートナーであり、ヴィタゴラの日本での活動を支えてくれている。農研機構を通して、食品のイノベーション等を知ることができる。農研機構から、九州地域のKBCCの情報も得ることができた。
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 研究管理役 後藤 一寿 氏
Qヴィタゴラの進出先に九州を勧めた理由
A 九州は、日本でも有数の農産物の産地であり、多くの食品会社や農場があるため。農研機構は、熊本にも研究所がある。KBCC、ヴィタゴラ、農研機構の連携は、今後も素晴らしい相乗効果をもたらすと考えている。今後も、日本とフランスの連携を支援していく。
九州地域バイオクラスター推進協議会プロジェクトマネージャー 森下 惟一 氏
Q今後の展望について
Aフランスにヴィタゴラという信頼できるパートナーできた。お互いをよく知ることができた10年だった。我々の活動により、日本に興味を持つ人が増えるとよい。連携の中での成功事例を活かして、事業を進展させていきたい。
(一財)自治体国際化協会パリ事務所 羽白淳
Q本連携がベストプラクティスである理由
A日本では、自治体が地域の産業振興に大きな役割を果たしている。しかし、自治体だけではなく、中小企業を含め様々なプレーヤーが関わることが必要。KBCCは、熊本県の熊本産業支援財団が事務局を担い、県庁にヴィタゴラの日本オフィスが置かれるなど自治体のサポートを受け、民間セクターが活発に事業や研究開発を行っている。同様に、日欧地域連携でも、双方の様々な主体の連携が、新しい価値を生み出している。本連携が、多様な主体の活発な活動を生み出すプラットフォームとして機能している点がベストプラクティスとよべる。
関係URL
(第1回ウェビナー)
●九州地域バイオクラスター推進協議会
http://kyushu-bio.jp/
●ヴィタゴラ
https://www.vitagora.com/
●国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
第2回ウェビナー「再生可能エネルギーと地域活性化に向けて発展するパートナーシップ」
2021年1月26日に開催された第2回ウェビナーでは、「再生可能エネルギーと地域活性化に向けて発展するパートナーシップ」をテーマに、再生可能エネルギー分野で連携協定を締結している、福島県とドイツ・ノルトライン=ヴェストファーレン州(以下「NRW州」)との地域連携の好事例を取り上げた。
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① 開会の挨拶
日欧産業協力センター専務理事・駐日欧州連合代表部公使参事官 Philippe de Taxis du Poët氏
② 基調スピーチ
福島県商工労働部産業創出課 課長 堀江 直宏 氏
NRW州経済・イノベーション・デジタル化・エネルギー省第6局エネルギー経済・技術部長 Marlies Diephaus氏
③ 講演1「福島県とNRW州のパートナーシップ」
エネルギー・エージェンシーふくしま 代表 服部 靖弘 氏
④ 講演2「再生可能エネルギー分野における福島県とNRW州のパートナーシップ」
エネルギー・エージェンシーNRW 代表 Frank-Michael Baumann 氏
⑤ パネルディスカッション
エネルギー・エージェンシーふくしま 代表 服部 靖弘 氏
福島県 商工労働部 産業創出課 課長 堀江 直宏 氏
エネルギー・エージェンシーNRW 代表 Frank-Michael Baumann 氏
エッセン市経済公社 プロジェクトディレクター Go Theisen氏
一般財団法人 自治体国際化協会パリ事務所長 羽白 淳
日欧産業協力センター気候変動担当プロジェクトマネージャーStéfan Le Dû氏
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① 開会の挨拶
日欧産業協力センター専務理事・駐日欧州連合代表部公使参事官 Philippe de Taxis du Poët氏
・日欧双方で、産業の振興、雇用の創出が重要。
・今回の事例は、再生可能エネルギー分野に留まらず、気候変動対策にもなる。日欧が同じ目標を持ち、2050年までに脱炭素達成へ向かっていくことは重要。
・ドイツのビジネスを日本で行い、更に日本と手を組んで、東南アジアへ進出することが最近のビジネストレンド。日本と日本以外の進出国での利益が同等程度まで成長している。
② 基調スピーチ
福島県商工労働部産業創出課 課長 堀江 直宏 氏
・大震災から10年を迎え、福島県は、特に原子力に依存しない持続可能な社会構築に総力を挙げて取り組んでいる。
・再生可能エネルギー分野におけるNRW州との連携は9年目を迎え、企業の連携が進んでいる。
・2019年には、知事、首相レベルで連携強化を確認し、今後、ウィズコロナを見据えた取組を進める。
NRW州経済・イノベーション・デジタル化・エネルギー省第6局エネルギー経済・技術部長 Marlies Diephaus氏
・エネルギー転換を進め、2050年までに脱炭素を実現したい。
・2019年に発表したNRW州のエネルギー供給戦略の中で、再生可能エネルギーは主要な柱である。
・水素は脱炭素実現の原動力となる。NRW州を水素バレーとして発展させたい。
・福島県と目指すべきゴールを共有でき、嬉しく思う。
③ 講演1「福島県とNRW州のパートナーシップ」
エネルギー・エージェンシーふくしま 代表 服部 靖弘 氏
・福島県が再生可能エネルギー事業を推進するために設立したEAFは、NRW州のエネルギー・エージェンシーNRW(EANRW)と協力関係にある。
・災害からの復興に、再生エネルギーの導入を決め、2040年までに再生可能エネルギーで県内需要以上の電力を賄うという目標に向かって取り組んでいる。
・福島県には再生可能エネルギーへの知見がほぼなく、ゼロからのスタートだった。
・再生可能エネルギーの先進地であるNRW州を知事が訪問したことを契機として、交流が始まった。
EAF設立の経緯
・NRW州と協定を結んだ当初、担当者が再生可能エネルギーの専門家ではなく、数年で異動となることなどが要因で、連携がうまくいかなかった。
・これらの課題を解決し、連携をスムーズにするため、EANRWから専門組織の設立を強く求められた。
・EAF設立後、EANRWと協定を結んだ。
・EANRWは長年かかって積み上げたノウハウを惜しげなくEAFへ提供してくれた。
NRW州(EANRW)との交流及び成果
・福島県知事がこれまでに4回NRWを訪問し、NRW州トップも福島県を2回訪れるなど、トップ同士の交流も続いている。
・福島県郡山市で開催される、「ふくしま再生可能エネルギー産業フェア(REIF)」(再生可能エネルギー展示会)に、毎年NRW州の企業を招待している。
・NRW州エッセン市で開催される「E-world energy & water」(エネルギー産業国際見本市)に福島県ブースを出展している。同展示会には、福島県の企業も出展し、両国の多くの企業が交流している。
・同展示会へ福島県から参加する企業は、海外企業との交流経験のない中小企業がほとんど。
・互いの出会いの場を作り、言語支援等のフォローアップを行い、双方企業の合意を目指している。既に3組の協業が成立し、現在も多くの案件が進行中。
・毎年1回、NRW州が福島を訪問し、福島県に話し合いの場を設けている。
・双方のベストプラクティスを交換し、連携の方法を模索している。
・震災からもうすぐ10年。分野によっては、日本のモデル地域とよばれるまでになった。NRW州との連携が福島県にもたらしたものは大きい。
発展する連携
・福島県とNRW州の連携から、郡山市とNRW州にあるエッセン市が、再生可能エネルギー、医療機器産業分野などで連携協定を結び2019年に連携協定を結んだ。
・JETプログラム国際交流員(CIR)として福島県に勤務し、NRW州との連携に携わったGo Theisen氏が、JETプログラム終了後にエッセン市へ勤務し、本連携へ携わった。
・2018年に福島大とミュンスター大との連携が始まり、バイオマスエネルギーの分野での国を越えたインターンシップを行っている。
・素晴らしいパートナーと巡り合え、相互信頼に満ちた関係を構築することができた。
④ 講演2「再生可能エネルギー分野における福島県とNRW州のパートナーシップ」
エネルギー・エージェンシーNRW 代表 Frank-Michael Baumann 氏[P5]
NRW州・EANRWについて
・NRW州の人口は約1800万人であり、ドイツ最大の人口、人口密度、GDPを持つ州である。
・NRW州にあるラインルール地帯は、約1000万人の人口を持つ欧州で最大の都市圏である。
・州都のデュッセルドルフ市、大都市であるドルトムント市が有名だが、かつて石炭で栄えたエッセン市、農林業を中心産業とした農村部もある。
・NRW州は、ドイツ全発電量の27%を発電し、全電力消費量の27.6%を消費しており、原子力発電は行っておらず、総発電量は約44000MWに及ぶ。
・NRW州は、石炭で有名だったが、現在は再生可能エネルギーに注力している。
・NRW州の電力消費量のうち16%を再生可能エネルギーで賄っており、風力、太陽光の分野における雇用が非常に多い。
・学術機関や企業等とのネットワーク構築を目的とし、1990年にEANRWが創設された。
・EANRWは、無料のエネルギーコンサルタント業務、ワークショップ開催、ニュースレター発行など行っている。(顧客は基本的に企業や研究学術機関であり、エンドユーザーではない。)
・テクノロジーにおけるイノベーションの推進、企業や研究機関のサポート、情報プラットフォームとしての役割も果たす。
福島県との連携
・2013年に福島県とNRW州による連携が始まった。
・2014年に福島県とNRW州によるエネルギー分野、医療機器産業及び関連技術開発の分野等の覚書が交わされ、2017年に更新された。
・2014年には、「福島県再生可能エネルギー関連産業推進研究会」と連携を開始し、2017年にEAFが設立されてからはエネルギー・エージェンシー同士で覚書を交わし、バイオエネルギー、風力、地熱、太陽光、燃料電池、水素技術等を推進している。
・「ふくしま再生可能エネルギー産業フェア(REIF)」や「E-world energy & water」への参加を通して、年6回ほど双方に訪問し合い、多様な議論のテーマで情報交換するなど、密接に連携している。
・「ふくしま再生可能エネルギー産業フェア2018(REIF)」にはNRE州の企業8社が参加した。
・「ふくしま再生可能エネルギー産業フェア2020(REIF)」内でNRW福島セミナーをオンラインで開催し、水素ワークショップを行うなど、幅広い分野で情報を交換している。
・ワークショップやセミナー、双方の展示会の機会を用いて、非常に密接に連携しており、今後も福島県とはよい関係を続けることができると考えている。
・2021年も、「ふくしま再生可能エネルギー産業フェア(REIF)」、「E-world energy & water」への相互訪問を予定している。
⑤ パネルディスカッション
福島県 商工労働部 産業創出課 課長 堀江 直宏 氏
Q 国際的な連携を通じた、地域活性化の観点で重要なこと、地域活性化での県の役割
A 行政機関レベル、エネルギー・エージェンシー同士、企業同士、それぞれのレベルで交流が深まり連携が進み、新たなビジネスが生み出していくことが重要。これらのネットワークを活かし、福島県の復興を海外へ発信していく。今後、NRW州との連携をさらに拡大し、県外への企業の進出を積極的に後押しする。
エッセン市経済公社 プロジェクトディレクター Go Theisen氏
Qエッセン市と郡山市との交流での好事例
A ・エッセン市で開催された2020年10月のイベントへ、多くの企業や関係者が来場した。その際、郡山市は、エッセン市へ水素に関するノウハウを提供してくれた。
・エッセン市では、福島県や研究機関との連携など、水素に関連する更なる連携について議論している。
・郡山市の高校、エッセン市の高校が共同で何かできないか、若い世代を連携に巻き込もうと動いている。
・ベストプラクティスを継続し、行政、研究機関等、多くの主体が関与し連携しながら、再生可能エネルギーのプロジェクトに向かって動くことがプロジェクトの成功には重要。
エネルギー・エージェンシーふくしま 代表 服部 靖弘 氏
Q スペインのバスク等欧州との国際連携の更なる発展
A NRW州と最初の連携で成功体験ができた。新たなステップとしてスペインのバスク地方と連携している。福島県では、日本最大規模の風力発電事業の実現に取り組んでおり、風力発電産業振興のため、先進地であり、産業集積地である北ドイツのハンブルク州、スペインのバスク州と2019年に連携協定を結んだ。
Q EUとの連携を模索している日本の自治体にアドバイス
A福島県は、欧州4地域と連携しているが、欧州の地域、企業、人は成熟しており、信頼ができて、魅力的な連携ができる。
福島県の海外連携の成功要因は、専門組織(EAF)を創設したことだと感じる。専門組織があることで、連携先のイノベーションの要因を発見でき、両地域のステークホルダーを結集・交流させることができる。
エネルギー・エージェンシーNRW 代表 Frank-Michael Baumann 氏
Q EANRWの国際戦略について
A 国際連携で重要なのは、お互いから学ぶ姿勢。今後、イノベーションを推進し、気候変動を抑えるような取組を行いたい。企業がビジネスで成功するよう支援していきたい。オランダ、ドイツ、ポーランド、アメリカと連携し、大阪府とは水素分野で連携している。エネルギー転換を世界で進めていきたい。
一般財団法人 自治体国際化協会パリ事務所長 羽白 淳
Q 本連携がベストプラクティスである鍵
A ベストプラクティスだと考える要点は以下の4点。
1.福島県は2040年に再エネによる県内需要を賄い、NRW州は2050年までに脱炭素を目指すという政策目標を福島県とNRW州それぞれの政策決定主体が共有しており、両者間の協定は連携の確固たる基盤となっている。
2.エネルギー・エージェンシーという専門組織が創設され、エージェンシー同士が互いの地域連携を具体化、発展させており、また両地域には連携発展を促進する展示会等の土壌がある。
3.人材活用に関すること。異なる文化等は、時には障害となる。震災以降、福島県はドイツJETROに職員を派遣することにより、国際業務を担う人材を育成したり、ドイツからJETプログラム参加者を受け入れるなど、人材を活用し、ドイツとの連携を進めている。元福島県国際交流員のGo Theisen氏は、日本語、ドイツ語、英語の3か国語を話すことができ、連携の潤滑油としての働きをした。
4.福島県とNRW州、両エネルギー・エージェンシー、郡山市とエッセン市、など多様な発展がみられること。気候変動という地域の問題に落とし込んだ連携となっている。
日欧産業協力センター気候変動担当プロジェクトマネージャーStéfan Le Dû氏
Q日欧の協力体制について
A気候変動は、待ったなしの喫緊の課題。今後30年で脱炭素化が重要であり、日欧は高いレベルでの目標を共有できると感じる。現在、日欧間では、多くのパートナーシップが実現している。オランダ企業の日本初商業風力初電用インフラを日本企業への納入、日系自動車企業のフランスへの燃料電池車納入など。こうした協力は、単に日欧で行われるだけでなく、発展途上国に応用が可能である。
関係URL
(第2回ウェビナー)
●福島県
https://www.pref.fukushima.lg.jp/
●エネルギー・エージェンーふくしま
https://energy-agency-fukushima.com/
●ノルトライン=ヴェストファーレン州
https://www.land.nrw/en
●エネルギー・エージェンーNRW
https://www.energieagentur.nrw/english/the_energyagency.nrw
●エッセン市経済開発公社
https://www.ewg.de/ewg_home.en.html
●郡山市
https://www.city.koriyama.lg.jp/sangyo_business/sangyo/kokusai/index.html
今後もオンラインにて、3月に「健康関連ライフサイエンスビジネスを支援する日欧マルチパートナー連携」をテーマにした第3回ウェビナー、4月にマッチング・イベントを開催予定です。ヘルプデスクが実施する事業ご関心のある方は、こちら からご登録いただければ、今後も最新のニュースをお届けします。