一般消費者向け観光見本市を攻略
フランスでは1月~3月にかけて様々な都市で、一般消費者向けの観光見本市が開催されます。7月~8月のバカンスシーズンの旅行先を探す多くの来場者で賑わいます。
パリで開催される観光見本市には日本政府観光局(JNTO)が設置するジャパンブースに多くの自治体が参加しています。北部のリール市、南西部のトゥールーズ市、中部のリヨン市、パリ市の4都市で開催されるLes Salon du tourismeを例に来場者の特徴を紹介します。
観光見本市の来場者層は?
45%
来場者の内45%が退職者です。観光見本市の多くは金曜日から開催され、特に平日は退職者層の来場が多いです。
1,000€-3,000€
47%が1年間のバカンスの予算を1,000€~3,000€と回答しています。また、37%が3,000€以上の予算と回答しています。
96%
96%が1年に最低1回以上はバカンスで旅行をします。
出典:https://www.salons-du-tourisme.com/espace-pro/Decouvrez-les-Salons-du-Tourisme/Chiffres-cles
観光見本市に訪れる約半数は退職者層となっています。また、1年間のバカンスの予算は1,000€~3,000€と回答した人が最も多いですが、約40%の人が3,000€以上と回答しています。
退職者層の訪日旅行について
観光見本市のメインターゲットである退職者層の旅行形態はどのようなものなのでしょうか。JNTOが公開している市場別基礎情報の中に次のとおり記載されています。
属性 |
・中高年層 ・退職者 ・子どもが既に独立して手が離れている。 |
旅行形態 |
・ガイド付き団体ツアーあるいはオーダーメイド型ツアー。 ・家族・親族あるいは知人などからならう数人単位の個人手配旅行。 ・母国語以外の言語に自信がない、または効率よく回りたいことから現地ガイドを求める。 |
訴求ポイント |
・日本の象徴的な神社仏閣など歴史的建造物。 ・四季折々の魅力ある自然景観。 ・日本特有の文化体験(食、温泉、旅館)。 |
旅行日数、費用など |
・パッケージツアーへの参加。10日間で約3,000€など。 |
選定の背景 |
・時間的、経済的に余裕がある。 |
効果的な宣伝方法 |
・メディアを通じた情報の露出、旅行会社と連携した誘致宣伝活動。 |
出典:JNTO(https://www.jnto.go.jp/jpn/inbound_market/fotufe000000ifsc-att/france02.pdf)
まとめ
一般消費者向けの観光見本市を攻略するポイントとしては、「①メイン来場者である退職者層をターゲットにする。②旅行会社とタッグを組んだPRを実施する。」が挙げられると考えています。
ターゲット層を絞ることで、自ずとPRする観光素材も絞られてくると思います。例えば、観光見本市のメイン来場者である退職者層をターゲットに絞ってPRする場合と、Japan Expoのメイン来場者である日本のポップカルチャー愛好層をターゲットにするのとでは、彼らに訴求する観光素材が異なってきます。実際に、一般消費者向け観光見本市に出展すると、「日本庭園を見たい。」「桜を見たいけど、いつ行けばよいか。」「伝統的な日本の宿泊施設に泊まりたいけどどこがよいか。」などといった、退職者層への訴求ポイントに当てはまる質問を聞かれることがよくあります。
2点目の旅行会社との連携については、ターゲットを退職者層に絞った場合、彼らが求める旅行形態はパッケージツアーへの参加が多いと想定されるためです。その際には、来場者の予算を考慮したパッケージツアーの作成も重要になってきます。旅行会社からパッケージツアーが3,000ユーロ以上となると消費者は高い印象を受けるといわれたことがあります。
また、パリでは、前年の9月中旬に旅行会社等ビジネス関係向けのBtoBの観光見本市が開かれます。1月~3月の一般消費者向け見本市に向けた商品開発につながる場と考えられており、BtoBの観光見本市とBtoCの観光見本市双方に出展する自治体もいます。こうした場も含めて、戦略的な取り組みが長期的には観光見本市を攻略するポイントとなると思います。
BtoBの観光見本市については、過去のブログをご覧ください。
https://www.clairparis.org/ja/clair-paris-blog-jp/blog-2016-jp/1031-7-jet-6
トゥールーズ観光見本市の様子 | レンヌ観光見本市の様子 |
パリ観光見本市のジャパンブース |