熊本県とフランス・ディジョンメトロポールとの新しい連携
熊本県観光国際政策課 国際交流員 バルモラン・ダビット
熊本県は昨年10月、フランス・ディジョンメトロポールと国際交流促進覚書（MOU）を締結しました。本県がヨーロッパの自治体とMOUを締結したのは、これが初めてです。
ディジョンメトロポールは、ブルゴーニュ＝フランシュ＝コンテ地域圏の首府であるディジョン市を中心とした23の自治体で構成される自治体連合です。かつてのブルゴーニュ公国の首都であるディジョン市の周辺は、長い歴史と伝統文化を持つ地域で、特に、世界遺産に登録されている「ブルゴーニュのブドウ畑」は有名です。
美食とワインで有名なフランス・ブルゴーニュ地方と熊本県との交流は、民間レベルで2010年から始まりました。フランスの食品産業イノベーションクラスター「VITAGORA」と九州地域バイオクラスター推進協議会（事務局：くまもと産業支援財団）は、2010年にパートナーシップ協定を締結し、2020年には本県の協力によって、VITAGORAのジャパンオフィスが熊本県に開設されました。
2022年11月、クレアパリ事務所の紹介で、ディジョンメトロポールのフォート国際交流課長が来熊し、同課長から既に産学の分野で関係性を有している本県とのMOU締結について提案がありました。
MOU締結に当たっては、当課にフランス人の国際交流員（CIR）が在籍していたため、言語の面ではスムーズなやり取りを行うことが出来ました。ただ、交流分野の選定については、双方の希望の相違や慣習が異なることもあり、時間を要しました。しかし、お互いが粘り強くコミュニケーションを図った結果、ディジョンメトロポールで開催される「Semaine du Japon（ジャパンウイーク）」という日本の文化と伝統を紹介するイベントへの出展に合わせて、本県副知事をトップとする訪問団が2023年10月17日から22日まで現地を訪問しMOUを締結することが出来ました。
MOUには、相互発展が見込まれると判断した以下の分野において、交流促進を図ることが記されています。
＜交流分野＞
「ガストロノミーに代表する食文化」、「食品・食品産業」、「観光」、「盆栽・庭園」など
なぜMOUの締結が大切かと言うと、締結をきっかけに、既に民間交流を行っている団体はもちろんのこと、文化交流を行う団体、県産品のPRを行う団体なども様々な提案や企画を考え始めたからです。先の「Semaine du Japon」においては、MOUがきっかけとなって、球磨焼酎・郷土料理・盆栽・伝統工芸品などを扱う団体や個人が早速交流を始めました。また、今年11月にディジョンで開催される美食フェアには熊本の球磨焼酎や日本酒の蔵元が参加する予定です。
そして、同じく11月に、静岡市で開かれる「第8回日仏自治体交流会議」に、本県はディジョンメトロポールと合同で参加する予定です。ディジョンメトロポール訪問団は会議終了後、本県を訪問し、今後の交流について協議する他、県内各地を視察する予定としています。来年4月には、ディジョンメトロポールが大阪・関西万博に合わせて来日する計画があり、その前後の日程を再び熊本でお迎えするチャンスにしたいと考えています。
交流の１つの例として、熊本県のPRキャラクター、くまモンによる交流があります。くまモンは、フランス政府の観光関係の取組みなどで何度もフランスを訪れています。日本のゆるキャラは、ディジョンメトロポールの歴史的で真面目なイメージと差異があるように見えます。しかし、昨年くまモンがディジョンメトロポールを訪問した際、ディジョン市民は予想以上にくまモンに親しみを感じ、心から喜んでくれました。今後、観光の分野では、「くまモン」とディジョンのマスコットである白熊の「ポンポン」を活用した観光PRや相互の交流が期待できます。なお、くまモンがディジョンメトロポールを訪れた際の映像をYouTubeに掲載しています。動画ではくまモンがディジョン中心部や、本県の取組み、そしてＭＯＵセレモニーの様子などを紹介しています。是非一度ご覧ください。
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2023年10月、フランス・ディジョンVITAGORA本部、熊本県訪問団 |
2023年10月、フランス・ディジョン市役所、MOUセレモニー （©2010熊本県くまモン） |
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ディジョンメトロポールと熊本県の交流提携の始まり記念ロゴ。熊本県の「くまモン」とディジョンの「ポンポン」 |
くまモンとポンポン（©2010熊本県くまモン） |
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くまモン・ディジョン訪問記動画（©2010熊本県くまモン） |
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