クレアパリ事務所がISMaPPセミナーで日本の地方自治制度について発表
地方分権研究所IGDT(Institut de la Gouvernance Territoriale et de la Décentralisation)によって設立された、公共政策や地方行政などの高等専門教育機関ISMaPP(Institut Supérieur du Management Public et Politique)が、2021年1~4月にかけて、「世界から見たヨーロッパ・ヨーロッパから見た世界」をテーマとした長期プログラムのセミナーを開催しました。
本プログラムでは、Alain-Joseph POULET氏(Le docteur en droit)によるコーディネートの下、政治経済や歴史、環境、地域紛争、COVID-19対策など様々な国際的問題に焦点を当て、ブラジル、メキシコ、スーダン、インド、ロシア、チュニジア、レバノンなど世界各国の事例発表が行われました。日本については、羽白クレアパリ事務所長が「日本の地方自治制度」に関する発表を4月22日に行いました。
セミナーは、パリ市内に所在するISMaPP校舎で開催され講義は学生43名のうち、5名が教室にて対面で受講、残りの学生はZOOMを利用したリモート聴講という複合形式で行われました。講義については、公共政策や法律に関する専門家を目指す学生が、国際的視点を培うために日本の現状や基本的な行政構造などについて考えることを目的とし、主に次の3つの観点から日本の地方自治制度を発表しました。
①日本の政治制度、地方自治体の位置付け、意思決定方法
②国及び地方自治体は国際舞台における日本の立場をどのように捉えているか
③日本のフランス及びEUに対する考えや両者の関係における課題
これらを踏まえ、羽白所長から、国際社会における日本の立場や役割、フランスと日本の文化を通したパートナーシップ、各国との姉妹都市交流関係、日本国内の国際化と多様性、地方分権の変遷、国と地方自治体の組織構造や所管事務分担の相違点、財政規模の比較、COVID-19感染対策と自治体の取組事例、国内のワクチン接種状況など、日本の地方行財政に関する基礎から時事問題まで幅広い分野の内容を、フランスとの比較を交えつつ講義を行いました。(発表資料はこちら)
講義終了後には、学生から、フランスと日本の類似性に注目しながらも、日本における市町村合併に対する住民の反応と国の対応、政治に対する日本人の姿勢(地方議会における議員不足や女性の政界進出に見るジェンダー平等などの課題)、コロナ禍における日本の衛生対策の抑制効果、東日本大震災以降の変化、日本のマンガ・アニメ文化とフランスの関わりなど、さまざまな視点から活発な質疑応答が行われました。全体を通して、学生の日本及び国際問題に関する興味・関心と学びへの熱意が強く感じられたとともに、コロナ禍において、オンラインだけではなかなか得られにくい学生の表情や視線などの生の反応が見られ、日本の地方自治制度を紹介するとても有意義な機会となりました。
クレアパリ事務所では今後もこうした日本の自治体政策、好事例の紹介など日仏自治体交流活動推進と情報発信に努めてまいります。
ISMaPP校舎 対面とリモートの複合形式で行われた講義 日本の市町村合併の推移