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パリ事務所(クレア・パリ=CLAIR PARIS)は、日本の地方団体のフランスにおける共同窓口として、1990年10月に設置されました。

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フランス ワクチン接種事情~パリのワクチンセンターでの接種体験 -5月末から誰でも接種可能に-

【フランス ワクチン接種事情】

4月末までの3度目のコンフィヌマン(いわゆるロックダウン。ただし、3度目はそれほど厳格ではなかった。)やワクチン接種の進展によるのか、先行していた英国などと同様フランスも感染者数等が最大1日約8万人のピーク時から大幅に減少してきている。とはいえ、5月中旬で下がっても感染者数は一日約1.5万人ほど(日本で言えば約3万人)である。

5月27日時点で、ワクチン最低1回接種者は2,415万人(人口の36.0%)、2回接種者は1,110万人(同16.6%)となっている。一日のワクチン接種数は、約60万回となっている。

フランスでのワクチン接種は居住市内外どこの会場でも予約が取れれば受けられ外国人でも無料。5月12日から当日又は翌日の予約の空きがあれば年齢、基礎疾患の有無など関係なく誰でも接種可能となっている。また、当初6月15日から18歳以上が誰でも接種可能となる予定であったが、前倒しされ、5月31日から誰でも接種可能となり、ワクチン接種の加速化が進められている。

病院や市区役所や公共施設に設けられたワクチンセンターなどは主にファイザー社、モデルナ社、ジョンソンエンドジョンソン社(55歳以上)、市中薬局や市中の一般医では管理が容易なアストラゼネカ社(55歳以上)のワクチンを接種していて、会場や会場の種類で予約時にワクチンがわかるようになっている。55歳以上に限定しているアストラゼネカ製は薬局で薬剤師や市中の一般医が打てるのでより迅速に接種を進められているようだ。

予約サイトでは、ワクチンが複数種類ある会場では予約時にワクチンの種類を選ぶようにもなっている。一方、ワクチン接種している市中薬局では、個別の予約受付もしていて、手書きのノートに待機者リストを書き込み、個別に電話をかけて予約を受けているところもある。

【パリのワクチンセンターでの接種】

パリでのワクチン接種の例として、あるパリのワクチンセンターでの接種の状況を紹介する。

5月19日(水) 朝、たまたま医療予約サイトdoctolib(https://www.doctolib.fr/)で居住区内での当日又は明日の空きを調べたら、一件ヒット。サイト内のワクチンセンター(市のスポーツ施設内の体育館(Gymnase Henry de Montherlant)。パリ市(16区役所)、赤十字、消防の協力で運営か。) のページに行くと、当日15時10分からの枠が空いていて、1回目の予約をとると、引き続き2回目の予約も取る流れ。同会場のワクチンはファイザー製。なお、同サイトの予約は名前、生年月日とメールアドレス等で簡単に登録できる。本人以外の予約も取ることが可能なうえ、なりすましも容易だろうが、emailの確認はされ、予約取得も難しい中であまり意味がない。

その後、同サイトから事前案内のSMSが届き、身分証、基礎疾患の処方箋などの持参や発熱時の接種不可などの注意事項などが記載されている。

予約時間数分前に会場の体育館に着くと、敷地に入るところでセキュリティ2名がおり、予約サイトの画面を見せると、脇の受付テントに行くよう指示を受ける。

 

さほど忙しくはなさそうな受付テントの人に予約時間と名前を告げると、手元の名簿を確認し、先へ進めとの指示を受ける。

 

テニスコート脇の行列間仕切り(行列はできていない)を抜けて会場の体育館へ向かう。

体育館内に入ると、3,4人いる受付コーナーで体温を測定。次に身分証として滞在許可証を提示して、名前と予約時間を確認の上、問診票を渡される。 そのすぐ先のアクリル衝立付きの記入コーナーへ向い、こちらも3,4人同時に受け付けられるほどの広さがあり、係員の前で問診表を記入。社会保障番号のない場合は、住所、メールアドレス、携帯番号の記入を求められる。

 

記入後、2枚目の問診票も渡され、社会的距離確保のマーカーはあるが行列のない廊下を抜け、体育館内の接種会場へ。入り口で赤十字の係員が、問診コーナーへ案内してくれる。

 

問診コーナーは3卓あり、各卓に1人ずつついて問診。アレルギー、発熱の有無などを確認。

 

問診終了後、横の待合コーナーで待つ仕組みだが、混んでいないためすぐに10ある接種ブースの一つに誘導された。

 

接種ブースでは、利き手を聞かれて、利き手でない方にワクチンを接種。上腕部まで出すので脱ぎやすい格好が良い。間仕切りはあるが待機エリアや接種後待機エリアからブース内はまる見え。ワクチンは予め卓上に用意してある。接種コーナーは10ブースあり、接種してくれた女性いわく、1日約150人に接種するとのこと。ここまで10分程度で接種終了(ブースが並ぶ写真は接種後待機エリアから撮影)。

接種後の待機エリアでの接種確認ブースが2卓あり、各4人ずつ(事務2人、案内2人)いて、赤十字係員のベストを着用。各卓PC2台(PCはパリ市のもの)、プリンター1台ずつ、計8人で接種証明書等を発行。

 

受付で身分証などを確認して接種済登録手続きをしてもらいつつ経過観察のため待機。

証明書発行がされると呼び出され、接種済み証明書を渡される。

ワクチン対策アプリに接種状況を取り込めるようになっており、今後、衛生パスとして、旅行、大規模イベントなどで使われる予定。

救護所には消防職員がいて、車いすなどの対応も実施。

 

出口の動線はブース別に分けられており、終了後は接種会場から直接外へ出られるようになっている。