パリ事務所(クレア・パリ=CLAIR PARIS)は、日本の地方団体のフランスにおける共同窓口として、1990年10月に設置されました。

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コロナ禍の仏地方財政への影響と政府支援とその活用状況

フランスでは、コロナ禍にあって、昨年3月から5月まで最初のコンフィヌマン、いわゆるロックダウンに入り、一旦感染状況が落ち着いたものの、徐々に拡大し、10月に急拡大し、11月から二回目のコンフィヌマンに入った。12月中旬に夜間外出禁止に緩和されたが、その後も感染状況は高原状態で、変異型の感染拡大も見られ、地域的なコンフィヌマンや3回目のコンフィヌマンもささやかれる先行きが見通せない状況にある。

こうしたコロナ禍にあって、様々なコロナ対策をとる地方自治体も大きな影響を受けているが、2020年(財政年度は1月から12月)の地方財政への影響については、当初、市長の組織である仏全国市長会(AMF)は税収減が2021年、2022年の2年間で約20億ユーロになると見込み、政府は14.5億ユーロと見込んでおり、これへの支援が不十分であると見ていた。

昨夏、国民議会の自治体代表団ジャンレネ・カズヌーヴ議長が首相に提出したレポートでは、地方財政への影響を約73億ユーロと推計し、32の対策を勧告した。内訳は、52億ユーロの税収、23億ユーロの料金収入減に加えて、追加的な歳出が36億ユーロ見込まれ、これらに24億ユーロの税収増見込みや14億ユーロの経常支出減を見込んだ。

こうした地方財政の見込みや勧告などにより、国の自治体への支援措置は、12月の成立までの2021年予算法の修正や2020年予算法の補正において、様々な2020年及び2021年の自治体への総合的な支援が議論された。自治体の損失のすべてを補償する方法はとられず、最も困難な自治体を支援し、自治体が自ら投資できるよう財政力を確保できることが目的とされた。また、税収源の補償などだけでなく、投資補助金なども含めた支援策全体で、自治体を支援するとしている。

具体的には、予算法の3次補正では、まず2017~2019年度の平均と比較した税収補償措置が講じられたが、この補償措置は対象となるコミューンは2,300~2,500団体、コミューン間広域行政組織では100団体程度と見込まれ、2.3億~2.5億ユーロ規模と当初7.5億ユーロ程度という見込みや団体数から大きく乖離し、具体的な対象団体は宿泊税、狩猟税、スキーリフト税などの歳入のある団体などに限られている。なお、この3次補正では、海外県やイルドフランス州交通公社に対する支援も含まれている。

また、8月末には、人件費を除く自治体のコロナ対策経費を最長5年の繰延できる予算会計手続きが導入され、経常経費を資本化する取り組みで地方自治体の財政負担を平準化できることとした。

また、県に対するDMTO(les droits de mutation à titre onéreux;不動産有償譲渡税)の将来返済を要する資金支援については、40県だけが2020年10月に4億ユーロの申請をしたのみで、3次補正予算法で想定していた27億ユーロには遠く及ばなかった。DMTOは、2020年度に前年度比2.2%減少したが、最終的には8県のみが対象となり、1.4億ユーロが対象となり、うち、1.3億ユーロはパリとオードセーヌ県であった。

予算法の4次補正では、追加的に22億ユーロが自治体に充てられ、12億ユーロがイルドフランス州交通公社、7.5億ユーロがその他の交通事業体への将来的な返済前提の資金支援として、公共交通の税収や料金の減少への補償として講じられた。事業体は、2017年から2019年の平均の水準まで収入が回復後1年後から返済を求められ、最短6年から最大10年間で返済することとされている。

この他、自治体が調達したマスク費用の半分を負担する2.15億ユーロの予算措置も講じられている。

2021年度予算法では、県の財政安定化のために、県間のDMTO平衡基金への過去3年間の平均1.15億ユーロを上回る2億ユーロ拠出が組み込まれ、同基金の規模への拡大につながる措置が講じられた。また、コミューンに対しては2500団体の歳入減の支援として、0.5億ユーロの措置が講じられた。このほか、県の支出削減措置として0.38億ユーロ相当の支出削減措置や、職業税の代替である州CVAEの12億ユーロまでの補償措置が講じられた。また、追加の6億ユーロの州の投資支援なども講じられた。

この他、復興計画の一環として、自治体への補助金があり、3.5億ユーロのコミューンへの投資補助や10億ユーロの地域の建築物のエネルギー革新補助がある。

2020年度の実際の地方財政の状況は、地方自治体関係団体が懸念していたほどは悪くないものの、政府が示す予測よりは楽観できないとされる。通じて、地方自治体は、コロナに関する歳出増と歳入の減の板挟みにあっている。一方で、政府の様々な支援措置が十分に活用されていないという状況にある。

2020年の地方自治体の実質経常経費は0.2%の微増である一方、経常歳入は1.4%減少した。この歳入歳出の差異は地方自治体の310億ユーロの基金の水準から見ると、緊急事態というほどではないが、例えば、コミューン間広域行政組織レベルで見ると、料金収入は18億ユーロ(前年比13.9%)が急減したが、平均では6%と見られている。

こうした状況から、自治体は政府の支援措置は全て活用するという状況にないと見られ、コロナ対策経費の繰延措置やDMTOの支援措置などはそれほど活用されていない。

2月12日、グロー国土結束・地方自治体関係大臣とデュソップ公会計担当大臣は、コロナ禍の自治体の財政支援として、8月末に導入した、人件費を除く自治体のコロナ対策経費を最長5年の繰延できる予算会計手続きを6月末まで適用延長した。導入時期から予算編成に間に合わなかった面などもあり、本繰延手続きも70団体、約2億ユーロ程の活用実態に止まっている。

また、県に対するDMTOの支援については、40県だけが2020年10月に4億ユーロの申請をしたのみで、3次補正予算法で想定していた27億ユーロには遠く及ばなかった。DMTOは、2020年度に前年度比2.2%減少したが、最終的には8県のみが対象となり、1.4億ユーロが対象となり、うち、1.3億ユーロはパリとオードセーヌ県であった。

政府は、自治体のコロナ禍の財政面での影響に対して、税収減の全てを補償するのでなく、税収減への補償や返済を要する資金措置、投資補助など総合的な支援方策により、対応を図ろうとし、自治体関係団体からは、税収減に着目してその補償を求める声が上がった。また、政府の支援方策について、自治体関係団体からは、投資補助は自治体の懸念である経常経費の問題解決にはつながらないといった批判の声も上がっている。

自治体の歳出減などにより、政府の資金繰り支援の利用状況は当初見込まれるほどではないが、今後2021年度において、引き続くコロナ禍の影響がより顕在化することも想定され、引き続き注目していきたい。

 

コロナ対策

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