九州地域バイオクラスター推進協議会とVITAGORA（DIJON）の地域連携について

2021年01月28日

九州地域バイオクラスター推進協議会

　　日本の南西部、東京から飛行機で約２時間の場所に位置し、ブルゴーニュ・フランシュ・コンテ州より一回り小さい面積を有する島である九州。その九州地域は農林水産業の豊富な資源に恵まれ、みそ・しょうゆ・焼酎などの伝統的な発酵産業に加え、健康食品産業や先進的な医薬研究施設までバイオ関連の企業・大学・研究機関が多数集積しています。

　こうした九州地域の特性を活かし、2007年に機能性食品や健康食品に特化したバイオクラスター計画として九州地域バイオクラスター推進協議会（Kyushu Bio Cluster Conference ：以下、KBCC）は始動しました。

　九州各県（福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島）の企業・大学・研究機関及び経済団体・自治体等の団体・個人により構成され、事務局は、熊本県の関連団体である公益財団法人くまもと産業支援財団（Kumamoto Industrial Support Foundation）が務めています。

　協議会の会員企業の多くは、国内での健康食品等の市場拡大を望みつつ、海外市場への拡大も期待を持っていました。

　国内の展示会等で情報発信をする中、知り合う事の出来たフランス食品産業クラスター（以下、F2C Innovation: French Food. Cluster）との産業交流は、2010年に産学官の協力・交流に関するMOUを交わしたことで開始いたしました。

　F2Cの中でも、ディジョンを本拠とするVITAGORAは、栄養、健康に特化したクラスターであり、これはKBCCと同じ目標を持っていることから、共通する産業分野も多く、積極的に交流をして来ました。

　交流事業においてVITAGORAは、KBCC側に対し、VITAGORA会員企業を紹介することはもとより、Bourgogne大学等と連携している技術移転加速会社（Sociétés d'Accélération du Transfert de Technologies: SATT）との面談も積極的で、KBCC会員企業との共同開発の可能性や、商品・事業がフランスおよびEU市場に対応するためのアピールポイントや改良点を見いだすことにもフォーカスしていました。

　その結果、企業間や大学間の連携などにつながり、評価を元に商品改良を行い、例えば、「山うにとうふ」は、限定された地域で作られている特産品ですが、EU市場に販売を開始しました。また、この連携から、ヴィタゴラ会員企業の中に、自社の官能評価の事業でKBCC会員と業務提携しようとする動きも生まれています。

　しかしながら、訪仏は費用や日程などの面で、KBCC事務局とKBCC会員の中小企業には負担が大きく、年に1回実施するのがやっとの状況でした。

　2019年にVITAGORA から、これまでの交流をより活発化させるため、VITAGORA　JAPAN開設しオフィスマネージャーを常勤させる旨の提案がなされました。

　KBCC事務局は、オフィスマネージャーの活動や交通の利便性等を考慮し、熊本県庁と協議の上、2020年10月に熊本県庁産業支援課内にVITAGORA　JAPANは開設されました。この日仏地域連携の取組は、2021年1月、EUレベルの取組である日欧地域連携ヘルプデスクによる、日EU間の地域連携ウェビナーで好事例として紹介されました。

　今後、日仏双方の食と健康分野に関わる様々な産業分野や大学・研究機関の交流を双方向で活性化させ、新たな価値創造を目指して、協同して行きます。

写真①
2010年　フランス大使館においてF2CとのMOU締結