JETAAフランス文化講演会「ショートショートの神様、星新一」開催 ~元JET参加者が星作品の初仏語版を翻訳・出版~
9月24日、パリ日本文化会館にて、作家・星新一の魅力を語る講演会「ショートショートの神様、星新一」が、同館及びJETAAフランス(JETプログラム参加者の同窓会組織)共催、クレアパリ事務所後援により開催された。
星新一は、ショートショートと呼ばれるSFの短編を生涯で1000篇以上著し、作品は教科書にも採用されるなど、その読みやすさと豊かな発想で世代を問わず幅広い読者層に支持されてきた作家である。
講師を務めたのは、2001~2004年までJETプログラムで新潟市のCIR(国際交流員)として勤務し、帰国後はゲーム関係の出版社を設立し、現在はゲームの歴史研究者や翻訳家として活躍しているフロラン・ゴルジュ氏で、本年1月に星新一の初めての仏語訳書として、代表作『ボッコちゃん』を翻訳、出版した。
講演では、ゴルジュ氏が、星新一の生涯や作品の世界観、また自身の星作品との出会いや翻訳の苦労などを、同書の紹介を交えながら語った。同氏からは、高校生の時に日本に留学した際、ホームステイ先の父親から『ボッコちゃん』を薦められ、それ以降星新一の虜になったこと、その魅力をフランス人に広く伝えたく翻訳・出版を決意したこと、星作品独特の物語のオチの面白さを損なわずに翻訳することの難しさなどが語られた。
コロナ禍での開催に伴い、会場の客席数も約半分に制限されたが、当日は満席となる約60人の観客が集まり、社会的距離を保ちながら、星新一の世界に浸った。
JETプログラム参加者は、JET終了後も、勤務していた地域や日本への愛着を持ち続け、中には今回講演を行ったゴルジュ氏のように、日仏交流の懸け橋として積極的に活動している人も多い。また、JETAAフランスは、日本文化を紹介するイベントを毎年企画しており、JET 終了後も元JET参加者の交流機会を提供するとともに、フランスにおける日本文化の発信に多大な貢献をしている。クレアパリ事務所は、今後もJETAAフランスと連携をしながら、元JET参加者のネットワーク強化や日本文化の発信を支援していく。
星新一の魅力について語る元JET参加者フロラン・ゴルジュ氏
今年1月に出版された『ボッコちゃん』仏語版の表紙