世界でも名高い仏ワイン生産者組合ブルゴーニュ・ジュラ地方連盟と連携し、広島県の日本酒のブランド化加速へ!
広島県商工労働局海外ビジネス課
日本酒は、米と麹と水を主な原料として発酵・熟成させた日本特有の製法で醸造されるお酒で、ワインと同様、食べる料理に合わせて選ぶとよりその美味しさを楽しむことができます。
広島県で造られる日本酒は、芳醇な香りとうま味が調和しキレのよいのが特徴です。広島県は中国山地、瀬戸内海および盆地に囲まれた温和な気候風土に恵まれ、甘口、辛口、淡麗、濃醇まで個性的な味わいの酒が揃っています。
その広島県の日本酒には歴史があります。
広島県の酒造家・三浦仙三郎(みうらせんざぶろう)は、19世紀末、発酵には不向きとされていた広島県の軟水から酒を作り出すため、軟水に適した「軟水醸造法」を考案しました。これにより、今日「吟醸酒」と呼ばれる高品質の日本酒が作り出され、三浦は近代日本酒の父として広島県の日本酒の発展の基礎を築きました。
また、近代日本酒を生み出したもう1つの動力源が、広島県の精米機メーカー「サタケ」の創業者である佐竹利市(さたけりいち)が開発した日本初の動力精米機です。「吟醸酒」造りには欠かせない高精米の原料米の供給が可能となり、広島県の日本酒は全国にその名を轟かせていきました。
これらのイノベーションにより、これまでにない全く新しい「吟醸酒」という日本酒が広島県で誕生する事になったのです。
この「吟醸酒」発祥の地としての歴史のある広島県の日本酒を、世界的に食文化の地位が高く、多くの強みを備えた「美食の国」フランスで普及させるため、2014年、広島県内の酒蔵9社(現在11社)と海外展開のための官民一体組織「広島県日本酒ブランド化促進協議会」を設立し、フランスにおける広島県の日本酒のブランド化に向けて取り組んできました。
まずは、商流構築を推進して販売チャネルを確立するため、広島県と協定を締結した大手の酒類・食材の卸売業者会社2社(デュガ社・ルデラス社)を基軸に、両社に日本酒アンバサダーを設置し、レストラン・カーブなどでの試飲会の開催、サロンドサケ等の展示試飲会等でのプロモーションを実施してきました。
また、エデュケーションとして、料理学校ル・コルドン・ブルー(LCB)とも連携して、広島県の日本酒セミナー等を開催しております。
これらの取り組みで、フランス国内で徐々に販売チャネルが整い、広島県産日本酒がフランスへの日本酒輸出額の約6%程度を占め、また、現地では日本酒と言えば広島県という評価を頂くようになってきました。
こうした中、本場フランスのドメーヌで国内ワイン生産の13%を占め、ソムリエや消費者にも高く評価されている独立系ワイン生産者組合ブルゴーニュ・ジュラ地方連盟の存在を知りました。同連盟は、広島県の日本酒造りと同様、醸造においても造りの考え方や姿勢が似通っており、醸造の技術面をはじめ、テロワール(AOCなど)についても学ぶことができることなどから、同連盟との関係構築を進めることになりました。
度重なる協議を経て、2020年3月13日、広島県庁において、同連盟との間で基本合意書を締結する運びとなりました。当日は、新型コロナウイルスの感染拡大下ではありましたが、同連盟から締結を予定どおり実現し、速やかに取組みを進めたいとの強い意向もあったことから、十分な感染予防対策を双方で行った上で締結式を実施することになりました。
基本合意書には、「日本酒とワインのブランド戦略・酒類造り等ノウハウの相互提供」、「両地域を足掛かりとした認知度向上・販路拡大の連携協力」などが盛り込まれ、広島県の湯﨑英彦(ゆざきひでひこ)知事は「世界的なブランドであるブルゴーニュ・ジュラ地方の経験や知見を学びつつ、広島県の日本酒が世界的な知名度を上げる足がかりにしたい」と意気込みを語りました。
同連盟のヴァージニ・プティ代表は、広島県の日本酒の第一印象を「フィネス(繊細)」と評価されるとともに、「双方には優れた技術の伝承と、品質の追及という共通点がある」と期待を述べられました。
広島県では、同連盟を今後のブランド化に向けての心強いパートナーとして、広島県産日本酒のブランド化を一層加速して参りたいと考えております。
広島県庁にて基本合意書を交わしたヴァージニ・プティ ブルゴーニュ・ジュラ地方連盟代表(左)と湯﨑英彦 広島県知事(右)
ル・コルドン・ブルー パリ校で開催した広島県日本酒セミナー(2017年10月)
デュガ社のサロン「Club Expert de Dugas」へ出展(2019年9月)
リヨン市内で開催したソムリエ向けマスタークラス(2019年9月)
広島県内の酒蔵11社の日本酒
広島県日本酒サイト https://sake-hiroshima.com/