SNDGCT主催の自治体幹部交流セミナーに日本の香川県が参加
10月24日から27日まで、ブルターニュ州で自治体幹部交流セミナーが開催されました。これは全仏地方自治体事務総長組合(SNDGCT)が隔年で開催しているセミナーで、日本の自治体幹部を招き、フランスの自治体幹部と意見交換や交流を行うものです。クレア・日本の自治体が実施する、フランス自治体幹部が日本の自治体を訪れる幹部交流セミナーに対応して行われています。
今回は観光政策をテーマに、ブルターニュ州、レンヌ・メトロポール等の協力を得て、州各地を巡る形式で行われ、日本の香川県より三好正明交流推進部次長が参加しました。
香川県は日本の南西部、日本で初めて国立公園に指定された瀬戸内海国立公園の中心に位置し、大小110余りの島々を含む県です。島の中ではとりわけ直島が有名で、特に瀬戸内海の島々などを舞台に3年に1度開催される「瀬戸内国際芸術祭」では、島中に展示された現代アートを体感するため世界中から非常に多くの観光客が訪れています。
一方ブルターニュ州も2730㎞の長さを誇る海岸と、サン・マロなどの人気観光地を沿岸部に有している等、2つの自治体には共通点があります。セミナーでは、ブルターニュ州、レンヌ・メトロポール及び香川県が、それぞれの取り組む観光戦略について意見交換を行いました。
例えばブルターニュ州は食文化の発信を積極的に行い、海の幸も山の幸もある美食のまちとしてのイメージ戦略に注力していると発表しました。香川県も美食のまちで、特に「うどん(小麦粉、水と塩を練って作られた麺)」は日本随一の生産地であるため、三好氏は州の発表から地域独特の食文化や特別感のある観光地をより積極的にPRすることの重要性を感じていました。
同氏は、香川県が外国人旅行客を対象とした365日対応可能な多言語コールセンターや、主に外国人の個人観光客に向けた多言語の「香川せとうち地域通訳案内士」の登録制度を設けていることを発表しました。特に、多言語コールセンターの利用は無料ということで、仏側参加者の関心が高く、仕組みを尋ねる声が多くあがりました。
2日目以降は、サン・マロやディナン、フージェール等で観光資源を視察しました。州の取組みのひとつとして、観光資源や環境の保全が挙げられていましたが、豊かな自然や歴史的な建造物の保全状況や取組体制に三好氏は非常に注目していました。
4日間の交流を通してブルターニュ州と香川県は多くの課題や公共政策に関する知見を共有しました。三好氏からは、この経験を今後の観光政策に反映させていきたいといった声が聞かれ、具体的な案としては、地域通訳案内士の充実や、観光地へのアクセス向上、健康効果にも触れた地元の食文化の多言語でのPRなどが挙げられました。
今回のセミナーを通して、両地域の観光政策がより充実したものになることが期待されます。
レンヌにある州議会庁舎で行われた意見交換会の様子
サン・マロでの視察の様子