パリ事務所(クレア・パリ=CLAIR PARIS)は、日本の地方団体のフランスにおける共同窓口として、1990年10月に設置されました。

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パリの地下鉄で12年ぶりの大規模ストライキ~13日の金曜日の悪夢~

 パリの地下鉄、バス、トラムを運行するパリ交通公団(RATP)は、9月13日金曜日、マクロン政権が進める年金改革に反対し、12年ぶりの大規模なストライキを決行しました。
 報道によると、今回のストの参加率は、パリ地下鉄職員は90%、RER(イル=ド=フランス地域圏急行鉄道網)のうち、パリ交通公団が運行する A 線およびB線では100%に及びました。

 当日は、地下鉄16路線のうち自動運転の2路線は通常運転でしたが、10路線が全線運行停止になり、その他路線およびRER線、バス、トラムも多くの路線で朝夕の通勤時間帯のみ3本に1本の運行となるなど大幅に縮小され、市民の通勤・通学に大きな混乱をもたらしました。幸い全線運行停止とならなかったのは、パリ交通公団とイル=ド=フランス州交通局との契約により、ストの際、「通勤時間帯の最低限の運行率50%」を保証することが決められているからですが、今回の状況から見ると守られていない可能性が高いようです。
 今回のストは、マクロン政権が2025年を目途に、職業別に42種類存在する個別の年金制度を廃止し、統一年金制度の導入を計画しており、この改革によりパリ交通公団およびフランス国鉄(SNCF)職員等に認められている「優遇定年退職制度」が廃止されることに反対するものでした。
 この改革に対し、公団職員らは、「早期退職の権利は、夜間労働や地下での勤務といった過酷な労働環境に置かれている我々にとっての唯一の特権で、神聖な領域である」と主張しています。仏会計院によると、民間の労働者の大半は63歳で退職する一方、公団職員の平均退職年齢は2017年時で55.7歳だったということです。これまでも年金改革は歴代政権の大きな課題でしたが、政府もこうした動きを踏まえながら慎重に検討を進めていくようです。
 さて、我々市民への影響ですが、ストは法律上、5日前までには予告することになっているため、パリ事務所職員も当日の通勤方法につき事前に対策をとることができ、当日はほとんどの職員が通常どおり勤務を開始できました。パリ交通公団も、ホームページ等でシェアリング自転車やキックボード、自動車サービスなど代替サービスの割引クーポン等を紹介しており、実際、街中では普段より自転車やキックボードを使う人の姿が多く見られました。とはいうものの、特にバス停には人があふれ、なかなか来ないバスに痺れを切らし、あきらめて歩き出す人もいました。交通渋滞も凄まじく、筆者自身も、帰りはバス停で30分近く待たされた上、総延長最大380km(18時時点)の大渋滞にはまり、通常30分のところ1時間半もバス車内で過ごすはめになりました。車内ではあまりの渋滞のひどさにマクロン政権への批判を叫び出す人がいるかと思えば、渋滞を抜け出した際には運転手に拍手が湧き起こるなど、終始混沌としていました。パリのバスには冷房がなく、車内は満員の乗客で蒸し風呂状態、市民にとっては悪夢のような13日の金曜日になりました。

 

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朝、不安げにバスを待つ人々          閉鎖されたメトロの駅

 

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地下鉄が来ず、がらんとした構内             ストによる運行状況を知らせる電子掲示板

 

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運行路線には人が殺到           改札もストで出入り自由な状態

 

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ストの様子を取材するテレビ局              当日はシェアリング自転車での通勤が増加

 

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エッフェル塔付近の大渋滞(19時頃)

 

 

 

 

 

 

 

 

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