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少年消防クラブ日本代表、国際ユース大会で躍動!=スイス・マルティニ

2年に一度開かれる国際消防救助協会(CTIF)主催の国際ユース消防大会が7月15日から20日までの間、スイス西部ヴァレー州マルティニで開催された。今回は22回目で、日本代表として、札幌市厚別区、町田市(東京都)、河南町(大阪府)、香南市赤岡町(高知県)の4少年消防クラブ代表の男女20人(男子10名、女子10名)が日本消防協会から派遣された。メンバーは日本代表2チーム、2国際チームに分かれ計56の各国チームで400メートル筒先リレーと消防障害レースの2種目を競った。お国自慢大会では、日本代表は「よさこいソーラン踊り」を披露、見事2位入賞を果たし、これら消防競技のほか、各国の紹介や展示などを通じて各国代表との交流を深めた。

 (少年消防クラブ)

少年消防クラブは、10歳以上15歳以下の少年少女が参加し、全国で約4,500クラブ、約41万人が活動している。身近な生活の中から火災・災害を予防する方法等を学ぶことを目的とし、研究発表会、ポスター等の作成、防災タウンウォッチングや防災マップづくりなどの活動を行っている。その育成支援は、将来の消防防災を担う人づくりとしても重要である。

(国際大会出場)

この少年消防クラブの発展を期して、2年に一度の国際消防救助協会(CTIF)が主催する国際ユース消防大会に、日本代表を派遣し、ヨーロッパ各国青少年と競い、交流を深めている。日本からは2009年に初めて参加し、2015年、2017年に続き、今年で4回目の参加となる。

(消防競技)

20名のメンバーは9人一組の日本代表2チームとメンバー各1名が2つの国際チームに分かれ、世界各国56チームで、400M筒先リレーと消防障害レースの2種目を競った。

各国チームは2競技を行い、男女混合チームと女性チームとあり、それぞれの順位と総合しての順位を競った。

〇400M筒先リレー

400M筒先リレーは、文字通り筒先をバトンとして、2Mの障害やハードルをクリアしながらバトンをつなぎ、最終走者は、ホースを連結しながら延伸して、ゴールをするという消防ならではのレースである。

走力だけでなく、障害物をよじ登る、ハードルを越える、最後は、いかにスムーズにホースを延伸し、筒先をつけてゴールを駆け抜けるか、消防操法も問われる内容となっている。また、レース前には、前レースで延びたホースを自ら巻くため、その準備の度合いも問われてくる。

最終走者での逆転もたびたび起こるなど走力だけでなく、ホースを延伸して、走りながら、ホース、続いて筒先を連結させる高度な技を持つチームもあるなど、これまでの修練の成果を各国披露していた。

タイムはスイスならではできちんと計測されているが、タイムだけでなく、各ポイントでの減点要素も加味されて総合順位が決められている。

〇消防障害レース

消防障害レースは、障害(溝、ハードル、トンネル、平均台)をクリアしながら、ホース延伸や消火競争、結束などを行い、タイムと各障害での点数の合計で競う。

障害の溝は、日本のものより広く1.8.mとのことで、線を踏むと減点となり、またハードルを越えトンネルをくぐりながら、消防ホースを連結し、延伸するといった競技になっている。結束バンドをきちんと回収して、片づけたり、結束なども結び方にゆるみがあったりすると減点となるなど厳密に審判が審査する。

消火ポンプ競争は、一定量の水量になると点灯する専用器具に向かっての放水速度を競い、最後の結束や器具の配置などの障害が取り混ぜられ、これらを9人が分担しながら同時に走り、キャプテンの指揮の下、最後の一人がたどり着いて全員揃うとゴールとなる。

日本国内でも同種のレースは行われているが、溝の幅が1.8mと広かったり、障害や消防器具も異なったりと、あまり慣れていない日本代表チームは苦戦した模様だった。

 

消防障害レースの動画

https://www.youtube.com/watch?v=3pzuYdZ74Cg

 

日本代表チームは、レース前に、CTIF総会、現地消防視察なども兼ねて応援に訪れた秋本敏文日本消防協会会長から激励を受け、奮闘した。

また、お国自慢大会では、日本代表は「よさこいソーラン踊り」を披露、見事2位入賞を果たし、これら消防競技のほか、各国の紹介や展示などを通じて各国代表との交流を深めた。全国大会優勝チームなどが出場する国もある中、合同代表チームながら、出場56チーム中、ジャパン1が44位、ジャパン2が55位、国際チーム3が48位、国際チーム4が28位の成績を収めた。

(消防を切り口にした国際交流)

消防という共通の分野での大会だけに、各国、警察や軍隊組織と近しかったりと制度は様々でも、消防サイレンの音で走り出し、各国応援団がそれぞれのお国柄で応援合戦をするなど気持ちの良い雰囲気の中、抜けるような青空の下、アルプスのふもとで、日本代表チームものびのびと競い合い、お国自慢大会など、消防競技だけでない国際交流を通じて、日本では得られない刺激と、万国共通の消防の絆を感じていた。

〇国際大会の一幕

今回のレース競技では、国際大会ならではの一幕もあった。国際チームに参加していた日本代表メンバーの一人は、開会から本番まで国際チームの練習に参加して、大会当日を迎えた。練習では国際チームは9人全員揃うことが少なく、大人が入って練習をすることもあったという。

ところが、大会当日集合場所に集まると、オフィシャルから、一言、”You don’t have to run.”(君は走らなくてもいいんだよ)。どうやら各国からの参加者でチームが10名になったようで、補欠メンバーにということのようだった。帯同する日本消防協会スタッフがおかしいと声を上げると、ドイツ人の監督は、僕はわからない、自分のチームのメンバーも出られないんだといった態度。さらに交渉すると、筒先リレーでは走って、障害レースはセルビアの選手と交替ということになった。障害レースでは日本人メンバーは溝を渡り切れず減点となるということらしかったが、走らなくてよいのかと黙っていれば両レースを傍観して終わっていただろう。

国際交渉とまではいかないが、国際的な場ではきちんと声を上げなければならないものだということを感じさせる場面であった。さらに言えば、国際チームは、それほど順位を真剣に争うレベルのチームでないのだから減点しやすいとしても、練習にきちんと参加した選手が優先され、後から来た選手がいずれか一種目に参加など方途はあったのかもしれないが、それらも含めて、競技規則等の状況などがどうなっているのかなど、青少年の大会ながらも厳しい一面も垣間見えた。

 

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アルプスの麓で開催

 

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秋本会長の激励を受ける日本メンバ―

 

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競技終了後、代表チーム一同

 

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レース前、日本代表円陣で気合

 

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筒先リレー、最初の2m障害、越えた後筒先を掴んで走る。

 

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筒先リレーで疾走

 

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筒先リレー最終走者は、ホースを延伸、連結、筒先をつけてゴールへ走る。

 

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消防障害レース最初の障害は溝。赤線を踏むと減点。

 

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ハードルを越え、ホースを延伸

 

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トンネルを抜け、ホースを延伸

 

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平均台。横の箱に結束バンドを回収

 

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消火ポンプ競争

 

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消火ポンプ競争

 

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結束障害

 

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結束障害

 

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消防器具障害

 

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ゴール後、整列して、審判の審査を待つ

 

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各国応援団も総立ちで鳴り物入りで応援

 

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盛り上がる日本代表応援団

 

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ドローンで大会の模様を撮影

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