フランスとラグビー~RWC2019日本大会開催に向けて~
いよいよ9月20日からラグビーワールドカップ(RWC)2019日本大会が開催されます。開催地は、北は札幌から南は熊本まで全国12の都市に及び、RWC2019組織委員会によると大会を目的にした外国人訪日客は40万人にも達する可能性があるそうです。(※1)その中でも、クレアパリがあるフランスは、実は世界で最もラグビーファン人口が多く、その数およそ2,170万人。うち570万人は熱狂的なファンであると言われています。(※2)また、RWC 2011NZ大会では、13.3万人の外国人入国者のうち約9%にあたる1.15万人がフランス人だったとされています。(※3)
クレアパリでは、6月から7月にかけてパリの日本大使公邸レセプション、オルレアン、トゥールーズ、Japan Expoとフランス各地でRWC開催地を中心に日本の地方自治体のPRを行いましたが、観戦のために日本に行くという声が実に多く聞かれ、次のRWC 2023がフランスで開催されることもあり、RWCへの関心が非常に高まっていることを実感したところです。また、RWCのために訪日する方は、試合だけでなく、併せて試合の合間に開催都市や日本のどこに行こうかといろいろ計画されていました。
では、観戦に来たフランス人に日本を十分に堪能してもらうには、何が必要でしょうか。今回のRWC観戦を目的とした訪日客の多くはいわゆる「無関心層」であると言われています。つまり、通常の訪日客への調査では、「日本食を食べること」、「日本の日常生活体験」「日本の歴史・伝統文化体験」といった項目に興味があるという回答が70~80%に達するのに対し、RWC観戦を目的とした訪日客はそれらの項目に興味があるという回答が40%に満たない(※4)。言い換えると、日本にはそれほど関心がないがRWCがあるから日本に行くという方が非常に多いと言われています。そのため、日本の文化や習慣にはそれほど明るくない方々が多数訪日することが予想されます。
そこで、受け入れにあたっては、訪日するラグビーファンが通常どのようにラグビーを楽しんでいるかにも留意する必要があると思われます。例えばフランスのラグビーファンは、ビールをたくさん飲みながらラグビー観戦し、試合後も街で夜遅くまで飲んで楽しみたいという方が多く、フランスではバーなどは深夜0時前後まで営業していることも普通です。また、先月クレアパリがPRを行ったラグビーファンイベント「Rugby No Limit」(ラグビーの聖地トゥールーズ近郊にて開催)にはフランス全土から1000人を超えるアマチュアラグビーファンが集結しましたが、気温40度の中、一日中ビールを片手にタッチラグビーを楽しむだけでなく、プールなどのアトラクションに興じ、かつ、夜は深夜までコンサートや仮装パーティーなどで盛り上がる様子には非常に圧倒されました。会場には、目を見張るほどビールの樽が数多く準備され、注文するファンがひっきりなしでした。
このようなラグビーファンが、日本でスタジアムでの観戦だけでなく街中で心置きなくラグビー観戦できる環境を整えることで、訪日の主目的であるRWCを十分楽しんでもらうことができます。そうすることで観戦日以外の観光も楽しんでもらうことができ、旅行全体の満足度を高めることにつながります。そして例えば、試合観戦中や観戦後に各地の地ビールや地酒、食を楽しんだり、地元の方々と一緒に盛り上がって日本を大好きになって帰ってもらうことができたら、結果、RWCの思い出とともに日本のファンの1人となり、次の、又は周りのフランス人の訪日にもつながるのではないでしょうか。#rwc2019
(※1)公益財団法人ラグビーワールドカップ2019組織委員会「ラグビーワールドカップ2019大会前経済効果分析レポート」
(※2)SMG Insight「The Global Fan Base of Rugby Union」
(※3)ニュージーランド統計局 http://archive.stats.govt.nz/browse_for_stats/economic_indicators/NationalAccounts/impact-of-rugby-world-cup.aspx
(※4)JNTO「欧州・豪州ラグビー愛好家調査(2018年3月)」
Rugby No Limitのクレアブースで日本酒を試飲し、職員の説明を聞くアマチュアラガーマンたち
日本の自治体のパンフレットを読む親子
気温40度の暑さの中、タッチラグビーを楽しむ様子
プールを楽しむ様子
相撲を楽しむ様子(今年のテーマは日本だった。)
多様なアトラクションを楽しむ様子
握り寿司の仮装をする人々
力士の仮装をする人とその後ろには大量のビールの樽
深夜まで続いたコンサート