日本酒はフランスで受け入れられるのか。~フランス初の日本酒コンクール開催~
6月26日(月)フランスで初めて開催された日本酒コンクール「Kura Master」の審査会がありました。日本全国の酒蔵数の約2割に相当する220社から、計550銘柄が集まり、フランス人のソムリエらによって審査が行われました。審査結果は7月11日(火)に発表されます。果たして日本酒はフランスで受け入れられるのでしょうか。
Sakéとは
日本貿易振興機構(JETRO)が発行している「フランスへの日本酒の輸出 ガイドブック」によると、フランスにおける「Saké」のイメージは、フランスの中華系レストランで、食後酒に「Saké」といって、アルコール度数の高い中国の酒の「白酒」を出しており、フランス人のほとんどが「Saké」というとこのアルコール度の強い酒というイメージを持っているとしています。そのため、後発となった日本酒はそのイメージの払拭から始めなければいけないハンディを持つと言われています。
実際、各自治体がフランスで開催している日本酒イベントを訪れると、多くのフランス人から「アルコール度数強いでしょ。」という声が聞こえます。SakéといってもSaké Japonais (日本の酒)であり、日本酒は、ワインと同様に醸造酒であり、アルコール度数も15度程度であることを説明するとようやく試飲してみようかという雰囲気になってくれるのが実態です。もちろん、日本酒に詳しいフランス人がいるのも事実です。
フランスのSaké市場
日本からフランスへの日本酒の輸出は伸びています。2016年の日本からフランスへの清酒の輸出金額は196百万円で4年前の2013年と比較すると約1.8倍に増えています(図1)。一方で日本からフランスへのアルコール類の輸出金額の中で清酒が占める割合は、1割にも満たない金額です。8割以上をウィスキーが占めています。また、2016年の清酒の輸出額で第1位となっているアメリカは5,196百万円でフランスの25倍にもなります。フランスでSaké市場が伸びていることは間違いありませんが、まだまだ流行っているとまでは言えない状況ではないでしょうか。
図1 フランスへの清酒の輸出金額推移(出典:国税庁の資料より作成)
図2 フランスへのアルコールの輸出金額割合(出典:国税庁の資料より作成)
フランスでSakéがより身近になるためには
フランスでSakéをより身近にするためには、料理とのマリアージュ(組み合わせ)を提案することが重要だということをよく聞きます。フランスではワインを料理と一緒に飲むのが一般的で、料理に合わせてワインを変えます。日本酒も同じように料理に合わせて、提案したほうがフランス人には分かりやすく、彼らのライフスタイルに受け入れられやすいと思います。実際、Kura Masterの審査会の後に行われた懇親会では、日本酒と料理のマリアージュをフランス人に知ってもらうことを目的に、シェフたちによる日本酒にあうメニューが振舞われました。日本食だけでなく、フレンチ、イタリアン、アジア料理(韓国)、チーズ、ハムなどとフランス人が普段食べる料理も一緒に提供されていたのが印象的でした。
フランスのSakéブームはまだまだ入口に立ったばかりだと思います。今後ブームの広がりを見せるためには、フランスにおけるSakéのイメージと日本酒のイメージを近づけ、フランス人のライフスタイルに合わせた提案をしていく必要があるのではないでしょうか。
写真1:日本酒を審査するフランス人ソムリエ(Kura Master審査会の様子)
写真2 料理と日本酒のマリアージュを楽しむフランス人(Kura Master懇親会の様子)