「統合した７州の新たな州名・州都等が州議会で議決」

　フランスでは、2015年１月16日に公布された「州の再編・統合、州・県議会の選挙及び選挙期日の変更に関する法律（以下「2015年法」という。）に基づき、2016年１月1日に本土22州が13州に再編された。これに先立ち、2015年12月に新たな州の枠組みでの州議会議員選挙（注１）が執行され、13州のうち統合した７州については、2016年１月４日に初の議会が開会され、議長等が決定された。

　統合した７州の州名及び州都（chef-lieu）については、2015年法にて、州名（ノルマンディー）及び州都（ストラスブール）が一つずつ定められたが、その他は2016年６月末までに、州議会において議決される必要があるとされ、最終的には政府が９月末までにデクレ（政令）で確定することとされた。なお、上記デクレ公布まで、州名は旧州名をアルファベット順につなげたものが、州都は2015年７月31日デクレ（以下「2015年デクレ」という。）で定められたものが仮として用いられている。

　各州議会の議決は６月27日に出揃い、議決された州名及び州都が変更されずにデクレで定められた場合、本土13州の州名及び州都は下表及び地図のとおりとなる。

　統合した７州の州名は、2015年法で州名が確定しているノルマンディー州（地図上④）を除き、議決に至るまでに、名称を検討する委員会の設置、高校生からの名称募集、インターネット等を用いた州住民による投票等が行われた。議決された州名を区分すると、ブルゴーニュ＝フランシュ＝コンテ州（③）及びオーベルニュ＝ローヌ＝アルプ州（⑪）の２州は旧州名をつなげたもので、仮の州名と同じである。オー＝ド＝フランス州（⑤）及びグラン・エスト州（⑥）はフランスにおける位置的名称（前者は上部、後者は東）である。ヌーベル＝アキテーヌ州（⑨）は州都ボルドーがある旧アキテーヌ州を元に、また、オクシタニー州（⑩）はオクシタニアという南仏を中心とする地域の地理的名称から、名付けられている。

　一方、州都については、2015年法で確定しているストラスブールを除き、2015年デクレで定められた６州の仮の州都が変更なく州議会でも議決された。ただし、2015年デクレ制定時から、仮の州都に定められず、州統合により州都の地位を失うことが予想されたブルゴーニュ＝フランシュ＝コンテ州のブザンソン、ノルマンディー州のカーン、オクシタニー州のモンペリエは強く反発し、統合後の州機関の設置等を求めていた。結果、各州の議決において、ブザンソン、カーンは州政府の本拠地（l’emplacement de l’hôtel de la region）となること（注２）、また、モンペリエには州議会が置かれることが定められた（注３）。

　　（注１）フランスの地方選挙では、首長の直接選挙はなく、議員の中から間接選挙で選ばれた議長が首長の役割を担う。

　　（注２）例えば、ブルゴーニュ＝フランシュ＝コンテ州の場合、州都であるディジョンには国の機関である州地方長官庁、州の17部局及び州議会が置かれる一方、ブザンソンには州政府の本拠地及び州の12部局が置かれる。

　　（注３）州政府の本拠地及び州議会の開催地等は、州議会での議決により変更することができる。

INSEE（仏国立統計経済研究所）による自治体番号順

フランスの本土13州の境界（州名は22の旧州のもの）及び州都並びに５海外県・州の地図（ARF（全仏州連合）HPより引用）。なお、番号及び州都の位置（☆）は当所にて追加。