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パリ事務所(クレア・パリ=CLAIR PARIS)は、日本の地方団体のフランスにおける共同窓口として、1990年10月に設置されました。

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パリで“老舗精神”に関する講演・討論会

5月16日、パリ・イルドフランス商工会議所の主催により、日仏の歴史ある企業の代表者による“老舗”をめぐる講演および討論会が開催されました。

 

日本からは、長期的利益や永続的経営などを重視する「老舗的価値観」と呼び活動するSpirit of Shinisé協会のメンバー企業の代表者14名が招かれ、フランスからは、400年の歴史をもつ老舗宝飾店メレリオ・ディ・メレール社社長のオリヴィエ・メレリオ氏をはじめ、多数の企業の代表者が参加しました。

 

最初の発表者は、Spirit of Shinisé協会理事長の矢内裕幸氏。日本における老舗という存在について、伝統芸能の家元との比較などを交えて説明されました。

続いて登壇された株式会社虎屋代表取締役社長の黒川光博氏は、16世紀前半の創業以来続く老舗和菓子店ならではの精神として、「自分たちに与えられた使命を懸命に果たそうとする誠実な姿勢」を社員が共有していることを挙げ、さらに長い歴史の中で培ってきたことを大切にしつつも、今に合った完成で絶えず新しさを生み出していくことが必要であると述べられました。

これを受けてフランス側からは、メレリオ氏が、日本の老舗とフランスの長い歴史をもつ企業は課題を共有していると述べられ、さらに質の高いものを供給することを第一とする点や、伝統を守りつつ現在のイノベーションにつなげていく志向などを両者の共通点として挙げられました。また、長期的展望に立つ発展を視野におく企業を会員とする「100年企業の会」や、創業200年以上の企業を中心とした「エノキアンクラブ」など、フランスにおける老舗企業のグループについても、それぞれの会長から紹介がありました。

その後の討論会では、矢内氏、黒川氏、メレリオ氏と、「100年企業の会」会長のジャン・モンヴィル氏を合わせた4名が登壇し、来場者を交えた議論が行われました。来場者からの「企業における集団と個人の関係について、どのようにバランスをとっていくべきか」という問いに対し、モンヴィル氏が自身の経験として、「社員株主」の創出により経営者と社員の直接の対話が可能になったエピソードを紹介され、また黒川氏が、さまざまな能力をもった強い個人の集合により集団の強さが生まれるという考えを述べられたことが印象的でした。

クレアパリ事務所では、今後もパリ・イルドフランス商工会議所と連携し、日本の自治体の経済活動に有益な情報を随時ご提供していく予定です。

 

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討論会の様子

 

Tagged under: 国際交流 経済活動