パリ事務所(クレア・パリ=CLAIR PARIS)は、日本の地方団体のフランスにおける共同窓口として、1990年10月に設置されました。

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オランド分権改革を追う(4) ~地方行政の刷新とメトロポールの確立に関する法律案③~

本年4月10日に閣議決定された分権関連3法案の紹介シリーズ、今回は1本目の「地方行政の刷新とメトロポールの確立に関する法律案」のうち、「メトロポール」に係る部分(後篇)について紹介する。

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(前回まで)

1 地方行政の刷新とメトロポールの確立に関する法律案
(1)権限の体系化に向けた方策
(2)メトロポールの確立
①イル・ド・フランスに係る特別規定
②リヨン・メトロポールMétropole de Lyonに係る特別規定
③エクス・マルセイユ・プロヴァンス・メトロポールMétropole d’Aix-Marseille-Provenceに係る特別規定

(以上、前回まで)
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④一般的な「メトロポール」
人口50万を超える都市生活圏aire urbaineに所在する人口40万を超える全ての課税型大都市共同体、課税型都市圏共同体は自動的に「メトロポール」へと改組される。なお、欧州関連機関が本部を置くストラスブール市のメトロポールは、「ストラスブール・ユーロ・メトロポール」と称する。

国は、メトロポールから要請があった場合には協定により、メトロポールに対し住宅に関する全ての権限を委任することができる。具体的には、住宅建替えや社会住宅建設など住環境改善に向けた国の各種支援策、地方長官庁の社会住宅の確保を担当する班の全部または一部の運営、穏当で独立した住居に対する権利の保障のための事業の運営、住宅徴用手続きの執行、緊急宿泊施設の運営といった権限がそれに当たる。
そのほか国との関係では、メトロポールはその要請に基づき、国から学生住宅(ただし、大規模な設備やインフラ施設を除く。)に関する権限の移譲を受けることもできる。

県との関係では、メトロポールは、県との合意accordに基づき、その区域内において、住宅連帯基金、社会扶助action sociale、社会同化に関する県プログラム、経済面等で困難を抱える若者への支援aide aux jeunes en difficultés、若者・世帯がそうした困難に陥ることへの特別な予防策の実施、スクールバス、県道の管理、産業団地zones d’activitésの運営、並びに、地域及びその経済活動の海外プロモーション活動に関する権限を、県に代わって行使することができるとされている。
なお、これらの県の権限の全ては、2017年1月1日には、県の合意の有無を問わず、メトロポールに当然に移譲されることとされている。

州との関係では、メトロポールは、州との合意に基づき、その区域内において州の権限を州に代わって行使することができるとされている。
なお、国境に接するメトロポールは国境を跨ぐ広域行政組織に加入することができることとされているため、例えばベルギーに国境を接するリール・メトロポールは、国境を越えた自治体間協力を担う欧州のメトロポールとして、その位置づけが強化されることになる。

メトロポールはその域内に、地域運営交付金dotation de gestion du territoireを財源とする経常及び投資的予算を付与された「地域議会conseil de territoire」を置くことができる(前出)。

⑤現行大都市共同体CUに係る諸規定
人口40万を超える都市圏共同体は、より統合の進んだ形態である大都市共同体communautés urbaines plus intégréesへと移行することができる。
大都市共同体は、協議整備区域ZAC、不動産ストック及び住宅政策に関しては、(従前の要件であった、大都市共同体の利害に関わる場合であるかどうかを問わず)完全に権限を有するものとされている。

⑥国の不動産公施設法人の合理化
公的プロジェクトに必要な農地や住宅地の先行取得や継続管理を目的として、各州には、都市計画担当大臣所管の不動産公施設法人établissement public foncier d’État (EPF)が置かれているが、事業効率の向上のため、その数を最大各州1つへと整理統合することとされた。なお協定の締結により、地方公共団体の事業にも参画できるものとされている。

(パリ事務所長 黒瀬敏文)