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パリ事務所(クレア・パリ=CLAIR PARIS)は、日本の地方団体のフランスにおける共同窓口として、1990年10月に設置されました。

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ガソリンスタンドを直営化する小規模コミューン

2013年7月8日付Les Echosの記事で、小規模コミューンにおけるガソリンスタンドの直営化に関する記事が掲載されていましたので、ポイントを記載いたします。

○ポイント
・不採算による事業撤退により、農村部においてはガソリンスタンドが減少
・ある地方自治体においては、ガソリンスタンドを直営化
・自治体直営のガソリンの小売価格は原価に近い

○ソルナック市の事例
・人口850人
・市内ガソリンスタンドの廃業→ガソリンスタンド各社との参入協議が不調→適正規模のガソリンスタンドを市自ら整備へ(2010年)
・15万ユーロの投資経費は借入れにより工面
・10年間の返済期限を設定し、事業の利益をそのまま返済に充てるという返済計画
・ガソリンスタンドには2つの給油ポンプがあり、24時間営業
・年度予算は200万ユーロ程で、一切他からの補助金を得ていない
・大型店舗よりも1リットル当たり2-3ユーロサンチーム(100サンチーム=1ユーロ)程度高いという競争力のある価格設定
・経営は順調

○リニエール・ソヌビル市の事例
・人口617人
・市内ガソリンスタンドの経営難→市による買収により直営化へ(2008年)
・買収額は68,000ユーロで、次の秋までに工事費用の170,000ユーロが必要
・農山漁村設備投資基金の枠内で、投資額の60%を補助金で確保することに期待

○FNAA(自動車関連サービス業界団体)の見解
・給油や整備などの最小限のサービスを維持するには、独立系給油所の支援を担当する基金(CPDC)の財源強化を図るのが本来の姿だと主張
・農村地方の市長の連合組織AMRFと揃って、石油会社などによるCPDCへの拠出の拡大などを要求

地方自治体がどこまでやるのか?という議論は、その拠出財源も含めて終わりのないテーマです。本事例のように、危機に際して、市が自らガソリンスタンドを運営するのは日本では想定しにくいのですが、住民の生活を死守しようという気概には心を打たれた次第です。
フランスのコミューンにおいても、依然として大変厳しい財政状況が続いておりますが、それでも取捨選択をしながら特徴ある事業を展開している事例も見受けられます。
今後も、引き続きフランスのコミューンの動向に注視していきたいと思います。

パリ事務所 所長補佐 原田知也(群馬県富岡市派遣)