パリ事務所(クレア・パリ=CLAIR PARIS)は、日本の地方団体のフランスにおける共同窓口として、1990年10月に設置されました。

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パリ市の水源と水源保全策

パリ市の水道は地下水と地表水(河川)からそれぞれ半分の割合で取水を行っている。
地下水については、飲料水の約半分を供給する取水地が全部で102カ所あ る。また、パリ市から75〜150キロの半径内に、地下水の取水地が広がっている。主な取水地としては、フォンテーヌブロー (Fontainebleau)の周り(パリの南に位置する)、プロヴァン(Provins)(パリの南東部に位置する)、セン(Sens)(パリの南東部に位置する)、ドゥリュー(Dreux)(パリの南西部に位置する)といった4つの地域の周囲に広がっている。これらの地域の地下水はロングビル(Longueville)、ソルク(Sorques)、サン・クルー(Saint-Cloud)、ヘイ・レ・ローズ(l'Haÿ-les-Roses)にある4つの浄水場で処理されている。


○ パリ市の水源
パリ市の水道は地下水と地表水(河川)からそれぞれ半分の割合で取水を行っている。
地下水については、飲料水の約半分を供給する取水地が全部で102カ所ある。また、パリ市から75〜150キロの半径内に、地下水の取水地が広がっている。主な取水地としては、フォンテーヌブロー(Fontainebleau)の周り(パリの南に位置する)、プロヴァン(Provins)(パリの南東部に位置する)、セン(Sens)(パリの南東部に位置する)、ドゥリュー(Dreux)(パリの南西部に位置する)といった4つの地域の周囲に広がっている。これらの地域の地下水はロングビル(Longueville)、ソルク(Sorques)、サン・クルー(Saint-Cloud)、ヘイ・レ・ローズ(l'Haÿ-les-Roses)にある4つの浄水場で処理されている。
地表水については、河川から取水している。具体的な河川としてはセーヌ川(la Seine)とマルヌ川(la Marne)の2つである。また、それら河川は、パリの南東部にあるオルリー(Orly)(セーヌ川の浄水処理施設)とジョアンビル・ル・ポン(Joinville-le-Pont)(マルヌ川の浄水処理施設)の2つの浄水場で処理されている。
パリ市内(市は全部で20区に分かれている)の水源地別給水状況としては、主に4つに分けることができると考えられる。具体的には、①ヴァンヌ川水系の地下水とセーヌ川(地表水)、②アーブル川水系の地下水、③セーヌ川(地表水)及びマルヌ川(地表水)、④ロワン川水系の地下水とヴルジー渓流の地下水となっている(水源地別色分けはこちらを参照)。

○ 水源保全の取り組みについて(水源保全のための行動計画)
パリの水道はフランス公衆衛生法典で定められているEU指令に準拠した飲料水に関する56の指標を満たす必要がある。そして、広範囲に分布している水源地の水質レベルを維持するために、Eau de Paris社は持続可能な地下水と地表水を保全するための行動計画に取り組んでいる。
また、Eau de Paris社は水源保全策として、農業や様々な業種が及ぼしている汚染の影響について監視を行い、行動計画を作っている。水源保全に関しては、セーヌ•ノルマンディ流域全体における水管理開発計画(SDAGE)がEU指令の基準に準拠して作成されており、2009年後半に改訂がされている。そのSDAGEの枠組みに沿った形でパリ市独自の行動計画も設けている。以下は水源保全区域内、水源保全区域の周辺ゾーン、さらにその外側に分けた場合の具体的な行動計画の内容である。

○ 【水源保全区域内】水源保全の取得および農家との合意
1990年代半ば以降、Eau de Paris社は、地下水の取水施設の周囲および地表水に浸透していくような河岸周辺に対して土地を取得するための計画を策定した。具体的には、土地を買い取り、これらの土地については芝生などの植物を植え、水質浄化を行っている。
しかし、Eau de Paris社は、水源保全区域内において土地が取得できない場合であっても、地区内の農家に呼びかけ、必要に応じ、水源保全に関する合意(契約の締結など)を得ることで対策を補完している。具体的には、耕作地の中の水源保全区域内に係る部分については、土地の使用を制限し、芝生などの植物を植えてもらうか、あるいは有機農業に変更することで水質浄化に貢献している(代わりにEau de Paris社は、契約している場合に、農家に対して資金提供を行っている場合がある。)。
水源保全区域では、Eau de Paris社による土地取得とあわせて、農家の協力を得ており、環境保護の観点からも、大幅に農薬の使用量が減少し、環境に優しい水質浄化の方法を確立できているとEau de Paris社は述べている。

○ 【水源保全区域の周辺ゾーン】農家との契約
Eau de Paris社は、農家が持続可能な栽培方法と効率的な汚染の処理を奨励するためにいくつかのアクション(農家への支援助成制度)を実施している。
水源保全区域内と共通する部分もあるが、Eau de Paris社は、農家との間で契約(5年契約)を行い、水源保全地域の周辺の耕作地については(無農薬の)有機農業に変更させる代わりに、資金提供を行うというものである。また、ほかにも、同意できない農家に対しては、40~50パーセントの農薬の使用を減らす代わりに資金提供を行うという契約もある。水源保全区域の周辺ゾーンについては水源保全区域内と比べると、内容が幾分緩やかとなっている。
なお、有機農業を行う農家に対しては、農家に対して助言および技術サポートを提供し、有機農業の維持•発展を推進させるとともに、農地を貸すことも行っている。

○ 【周辺ゾーンよりさらに広域】自治体等への研修•啓発キャンペーン
農家に対するアクションとは別に、Eau de Paris社は、農家による排水以外の汚染排水に対して研修•啓発キャンペーンも行っている。特に、地方自治体や道路管理者や鉄道管理者を対象としている。
Eau de Paris社は、水源保全のために、自治体など、公園や道路、線路における緑地管理を行っている者に対して、プログラム « Phyt’Eaux Cités »を呼び掛けており、様々な研修・啓発キャンペーンを行っている(強制ではない)。具体的には、緑地管理方法や農薬使用の制限に対する技術的支援や助言、水質検査を代わりに行うといったことが挙げられる。
この取組みは、2007年に始まっており、第一フェーズは2007年から2011年までで、65の自治体が農薬(殺虫剤等)の使用を減らすよう取り組んでいる。この取組みは成功し、プログラムは、2016年まで延長されている。
プログラム « Phyt’Eaux Cités »では、自治体が主な対象者であり、水質汚染対策を講じるよう呼びかけているが、それ以外の水質汚染の対象者(庭、ゴルフ場等)についても対策が講じられている。

○ 非営利団体への助成金
Eau de Paris社は、全ての非営利団体(仏語のassociationであるため実際には対象範囲は広い)に対して、そのプロジェクトに応じて、助成金を与えている。(水源保全のために取り組んでいる団体や、有機農業を促進するためのキャンペーンに取り組む団体など、実際には団体は様々であり、その中からEau de Paris社が決定する。)
2012年については、プロジェクトに対する助成金額は10万ユーロとされている。例えば、水資源の持続可能な保全という目的の下で、団体から提案されたプロジェクトに対して、Eau de Paris社は最大で50%まで助成を行っている。

(パリ事務所所長補佐  西村 高則)