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パリ事務所(クレア・パリ=CLAIR PARIS)は、日本の地方団体のフランスにおける共同窓口として、1990年10月に設置されました。

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仏地方団体の地方債の動き(地方投資公庫、共同調達)

仏地方団体の地方債の動き(地方投資公庫Agence de financement des investissements locaux、共同調達)について報告いたします。

仏地方団体の地方債の動き(地方投資公庫Agence de financement des investissements locaux、共同調達)について報告いたします。

■地方投資公庫Agence de financement des investissements locauxを求める声
10月24日に、全仏市長会(AMF)、全仏大都市市長会(AMGVF)、仏大都市共同体会(ACUF)の三者による「地方投資公庫」の設立に関するコミュニケが発表されました。(詳しくは全仏市長会のHP(仏語)を参照ください。)
地方自治体向けに資金調達を行う公的機関の設立については、以前から、要望されておりましたが、今回、改めてコミュニケの発表により、政府へ働きかける狙いがある模様です。
これまで地方自治体向け融資の最大手だったデクシア銀行が破綻した後、フランスでは、CAISSE D’ÉPARGNE(貯蓄銀行)、BANQUE POSTALE(バンク・ポスタル)らの存在が高まっています。ただ、地方自治体の信用不安が解消されたとは言えず、フランスにある約36,000のコミューンを含めた自治体のために市場から資金調達を行う公的な機関の設立が求められています。なお、コミュニケの中では、早急に自治体の資金調達が必要であること、さらに、公庫の設立は自治体の財政基盤の確保とともに国益にも資する旨が書かれております。

■6億1000万ユーロの地方団体の共同調達
44の仏地方団体が共同で、10月19日に起債を行い、6億1000万ユーロの調達に成功しました。この共同調達の計画は、欧州経済危機が発生して以来、自治体の融資対策として持ち上がったものです。今回、HSBC銀行が幹事を務め、10年償還のクーポン債(利率4.30%)を起債し、機関投資家等が債券を引き受けました。今回、44の仏地方団体の中には、コミューン、広域行政組織、県、州などが含まれています。

■6億1000万ユーロの調達額の割合
調達額に関する44の仏地方団体の内訳と調達額の割合は次の通りとなっています(カッコ内はそれぞれの団体数)。実際には、大都市共同体及び都市圏共同体とその構成コミューンの割合が高いことから、都市部の自治体が中心になっていることがわかります。

・大都市共同体(8、リール、リヨン、マルセイユ、ストラスブールなど):36%
・都市圏共同体(12):23%
・コミューン(10、リール、レンヌ、サン=テティエンヌ、ルアーブル、グルノーブルなど、大都市共同体を構成するコミューンも含まれている。):12%
・県(9、マンシュ県など):12%
・州(4、ロレーヌ州など):9%
・組合(1):8%

(パリ事務所所長補佐 西村 高則)