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パリ事務所(クレア・パリ=CLAIR PARIS)は、日本の地方団体のフランスにおける共同窓口として、1990年10月に設置されました。

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6月25日の政府セミナー後のコミュニケ

大都市市長会が6月27日の政府との意見交換の際に議論の叩き台としたのが、政府の6月25日のコミュニケである。以下にその内容の概略を紹介したい。ジャン・マルク・エロー首相は6月25日(月)、2013年-2015年の複数年予算及び2013年の財政法案の準備の開始に当たり全大臣を招集した。

財政再建に向けた政府の約束は明確である。2013年に財政赤字を国富の3%に抑制し、2017年には収支均衡を達成。2013年から国富に占める負債残高の割合を減少させる。
首相は、ここ5年間で6000億ユーロ膨らんだ歳出の削減の重要性を改めて呼びかけた。

財政の抑制は、正義justiceの下でこの国を建てなおすために必要だ。この再建を成功させることは政府の使命である。その際の改革の主たるものは、生産性の回復redressement productif、教育制度の再建、正義に資する税制改革réforme fiscale au service de la justice、経済・自然環境双方に配慮した効率性efficacité économique et écologique、エネルギーの転換、国家の改革と地方分権改革第三幕である。

予算の均衡はそれ自体が目的ではない。財政抑制は単に会計的な意味で盲目的に行われるべきではなく、正義の下におけるこの国の再建に資するようメリハリをつけてなされるべきものである。効率性efficasitéと正義justiceが首相による調整の基準となる。

この新たなアプローチこそ、前政権と一線を画するものである。

この約束を確実に実現するため、首相は2013年から2015年にわたる複数年予算の編成作業のための方針orientationsを定めた。この方針は大統領選挙中の経済・予算分析と整合するものであるが、欧州及びフランスの経済成長が弱含みとなる中、改めて明示するものである。

この方針は三つの努力(effort juste, équilibré et partagé)、すなわち、「正義justeに根差した努力」、「追加的な歳入確保と歳出抑制とのバランスéquilibré確保の努力」、「方針を公共セクターのすべてのアクター(国、外郭、社会保障、地方公共団体)が共有partagéする努力」を基礎とするものである。

国は、大統領の公約実現のための財源を確保するため、実質的な歳出の安定化une stabilité en valeur des dépenses(国債費、年金を除く)を図る。
合わせて、国の総定員の安定的推移を実現する。雇用の拡大は、教育、警察、憲兵隊、司法に限定し、他の省には抑制努力が求められる。この努力の内容は、各大臣の提案に基づき、公共サービスの公平性、品質を旨として決定される。

国の関連団体les opérateurs de l’Étatについても同様である。

同様の精神に則り、社会保障経費も同様に抑制される。

地方公共団体に関しても、2013年からの国の財政協力に関し、国と同一の努力が実行されることになる。国・地方間で、信頼と連帯の協定un pacte de confiance et de solidaritéを結び、予算責任に関する原則が、地方分権第三幕の枠組みの中で定められることになる。

こうした方針は、今週中にも各大臣に対して発せられる首相の「枠組みレターlettre de cadrage」に盛り込まれる予定。

政府はそれに引き続き、会計検査院の独自の分析結果を踏まえた複数年予算の方針を議会に提出する。

2013年の予算法案及び2013年~2015年の複数年予算は、10月初頭までに議会に提出される。これらはいずれも、任期開始に当たり、正義の下での国家再建を成功させるための特段の努力について定める財政法loi de programmation des finances publiquesにおいて定義される公会計抑制戦略の中に位置づけられるものである。

(パリ事務所長 黒瀬敏文)