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パリ事務所(クレア・パリ=CLAIR PARIS)は、日本の地方団体のフランスにおける共同窓口として、1990年10月に設置されました。

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首相の「Lettre de cadrage」

6月25日のコミュニケにもあったとおり、エロー首相から、複数年予算及び2013年予算法案に関する枠組みレターlettre de cadrageが28日、全大臣に宛てて発出された。
6月25日のコミュニケにもあったとおり、エロー首相から、複数年予算及び2013年予算法案に関する枠組みレターlettre de cadrageが28日、全大臣に宛てて発出された。
その内容は、25日の首相及び各大臣間の協議と内容的に重なるものであるが、今回さらに具体的に示された内容をはじめ、数点ノートしておきたい。
・前政権時代と一線を画し、一律主義application de règles uniformesを脱し、各大臣には正義justeと共有partagé、という二つの努力が特に求められる旨、改めて強調されている。
- 正義。すなわち、大統領の公約にのっとって優先順位づけ、メリハリづけが行われなければならない、という努力。その意味ではjusteは正義よりも、むしろ「(一律配分ではなく)実質的な意味での適正」とでも訳すべきかも知れない。大統領や教育、安全、法務行政を重点課題としている。
- 共有。これは、重点分野に係る省庁を含め、すべての省庁が、自ら作成した改革案に則り歳出の節減に取り組むべき、というものである。
・実質的な歳出や総定員の安定的推移についても25日と同様であるが、下記の通り、より具体的に示されている。



〔定員について〕
- 教育、警察、国家憲兵隊、司法分野に限定して雇用口の拡大を認めること。
- 他の分野については、毎年2.5%の定員削減努力をすること。
- この努力は、重点分野所管省庁を含め、すべての省庁に求められること。
- 各大臣は、一律カットではなく諸々の行政分野の真のニーズに根差した措置を講じることで、公共サービスの効率性を確保すること。



〔予算について〕
- 経常経費dépenses de fonctionnementについては、各省庁は公共サービスの公平性・効率性を旨として、総額を対前年比7%(2013年)ないし4%(2014年、2015年)削減すること。民生補助費dépenses d'interventionについても同様の量的削減努力をすること。国の関連事業団体opérateurs de l’Étatについても同様とすること。
・こうした原則に則り、各大臣は改革案を作成し、7月中に経済財政大臣及び予算担当大臣と協議をすることとされ、さらにこの協議を踏まえ、首相は7月末までに、2013年、2014年、2015年における各省庁の予算・定員の総枠について決定することとされた。
また2013年予算法及び2013年-2015年の複数年予算は、10月初頭までに国会に提出される予定としている。


(パリ事務所長 黒瀬敏文)