岡山県が誇る伝統工芸「備前焼」を世界へ!
備前市 市長公室備前焼振興課
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岡山県が誇る伝統工芸「備前焼」は、今、世界への扉を大きく開き始めています。
私たちは「北前船機構」とのつながりをきっかけに、2024年4月にイタリア・ミラノで開催されたデザインの祭典「ミラノ・フォーリサローネ」に出展し、備前焼の魅力を大々的に発信することができました。世界的に著名な喜多デザイン事務所がコーディネートを担い、秋田県大館市の曲げわっぱと共同事業として出展。Amazonなど世界的企業も軒を連ねるミラノ大学内の一角で、備前焼と曲げわっぱのコラボレーションを披露しました。世界的なデザインイベントの中に、長い伝統をもつ日本の工芸品を対等に並べられた意義は大きく、海外の方々から高い関心と称賛の声をいただきました。日本人の目にはすでに馴染み深い備前焼や曲げわっぱですが、異なる文化圏の方々にとっては新鮮な発見であり、その技法の緻密さや温もりある質感が高く評価されたのです。
続く2024年5〜6月にフランス南部ヴァロリスにあるピカソ美術館での展示会を行いました。ピカソ美術館は、近代アートの巨匠パブロ・ピカソが作品制作を行った歴史を今に伝える由緒ある場所です。そこで備前焼に触れた来場者からは、「ぜひ購入したい」との声が寄せられただけでなく、「ギャラリーとして来年のフランス展を企画できないか」というオファーまで頂戴しました。こうした国際的な芸術の舞台で、日本の伝統文化が高い評価を得たことは大変意義深く、備前焼の新たな市場開拓の可能性を示す大きな一歩となりました。
さらに同年10月には、ベルギーのギャラリー関係者を招聘し、市内各所に点在する工房や作家の作品を紹介しました。実際に窯元を巡り、薪窯独特の表情や土の風合いを体感していただくことで、備前焼の真髄を深く理解いただけたように思います。その結果、数百万円規模の作品購入につながっただけでなく、来年には彼らのギャラリー自身で備前焼展示会を実施する計画も進行しています。
また、9月にコルシカ島、10月にドイツのフレッフェン、11月にはモナコでの展示会やエッフェル塔を舞台に茶会を開催するなど、ヨーロッパ各地でイベントを企画し、12月にはパリの日本文化会館で備前焼と日本文化である刀(岡山県瀬戸内市)を融合させた展示を実現しました。
そして今年に入って2月には、アメリカのニューヨークでの「ジャパン・ソサエティー展覧会」と、世界3大見本市の一つとされるドイツ・フランクフルトの「アンビエンテ」へ出展し、世界各国のバイヤーなどが集う場で高評価を得られました。これらの評価や新たな出会いを活かし、今後さらなるコラボレーションや販路拡大につなげたいと考えています。
このような国際舞台での実績を積み重ねる中で、私たちは備前焼が世界に誇りうる伝統工芸品であると強く確信する一方、海外認知度の低さを痛感してもいます。しかし、そのギャップは伸びしろとも言えると考えています。私たちは、今後も国内外の関係者と手を携え、海外展示やイベント出展を積極的に行いながら、備前焼の更なるブランディングと市場拡大を図りたいと考えています。伝統の火を絶やすことなく、未来を切り開く備前焼として、多くの皆様に支えられながら、地域を越えて日本の誇りを世界へ届ける歩みを続けてまいります。
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2024年5月に出展したミラノフォーリサローネのミラノ大学内会場の様子 | |
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2024年12月に開催したパリ日本文化会館での様子 | 2025年2月に出展した世界3大見本市であるambienteの様子 |
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2025年2月に開催したニューヨークのジャパン・ソサエティーの様子 |
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