静岡市で第8回日仏自治体交流会議を開催! ~次回2026年会議はカンヌ市に決定~
両国の地方自治の発展に寄与することを目的に、日仏の姉妹都市関係にある自治体及び交流に関心のある自治体の首長等が一同に会し、両国の行政課題や先進施策等について議論する第8回日仏自治体交流会議が、11月18日~21日、静岡市で開催されました。
2008年10月に日仏交流150周年を記念してフランスのナンシー市で初めて開催されて以来、2年に1度日仏交互の開催で着実に成果を重ねてきた本会議に、フランスの19団体と日本の35団体が参加し、過去最多となる計54団体が静岡市に集いました。
静岡市での会議開催に先立ち、フランス側参加者は11月18日と19日に静岡市内で視察プログラムに参加しました。
18日、歓迎昼食会で交流を深めた後、参加者は用宗(もちむね)地区を訪れました。ここでは、古民家や漁業加工場のリノベーションを通じて、地域資源を活用した都市再生の取り組みが紹介されました。伝統的な街並みを守りつつ、新たな活力を生み出す事例に、参加者は熱心に耳を傾けていました。
続いて、あさはた緑地で環境に関する視察が行われました。災害時の治水機能を備えつつ、平常時には生物観察や農業体験ができる場として整備されたこの緑地は、インクルーシブなデザインが特徴です。自然と共生する防災空間という視点から、多くの質問が飛び交いました。
19日には、静岡浅間神社で日本の伝統文化に触れる機会が設けられました。参加者は、1000年以上の歴史を持つこの神社の建築や文化的及び歴史的背景について説明を受け、文化遺産の保存と活用について理解を深めました。
次に、静岡市内の茶農園である「森内茶農園」と「足久保ティーワークス」を訪れ、茶の生産や伝統的な茶文化を視察しました。伝統技術を守りながら現代のニーズに応える経営手法や、茶業における地域振興や持続可能な取り組みについての事例が紹介されました。
昼食を挟み、午後には匠宿(たくみしゅく)で職人文化に関する視察が行われました。伝統工芸の体験や職人の技術に触れ、日本文化の継承と地域振興の実例に多くの関心が寄せられました。
19日夜は、日本平ホテルで開会式と歓迎夕食会が行われ、日本とフランスの参加者が合流しました。姉妹都市やパートナー都市の代表者たちは再会を果たし、互いの交流を深める場となりました。
20日から始まった会議は「日仏自治体のパートナーシップが世界にもたらす新しい価値」をメインテーマに、まず2つのラウンドテーブルが行われました。議論は、地域の資源や財産の有効活用と、地域社会の絆や心のつながりを高めることに焦点を当て、日仏双方の代表者が具体的な事例を発表し、意見を交換しました。
1つ目のパネルディスカッションでは、<地域の資源・財産の有効活用>をテーマに未利用資産の活用や循環型社会を実現するための技術革新、歴史や文化と調和した都市再生の取り組みが共有されました。都市経営において、地域資源を有効活用し、社会全体の共有財産としての「コモンズ」をどのように活かすかが議論されました。
2つ目のパネルディスカッションでは、<無形の社会の力「地域社会の絆・心のつながり」を高める>をテーマに地域社会における連帯や共助、学生支援、地域資源である食や自然を活用した取り組みが取り上げられました。多様な市民が交流し、絆を深めることで、包摂的な社会を実現する重要性が確認されました。
参加者は、経済・社会・環境の視点から、それぞれの地域課題に対するビジョンや施策を共有し、日仏自治体間のさらなる連携の可能性を探るための場となりました。
20日の午後、会議は3つの分科会に分かれ、日仏双方の自治体代表者が発表と意見交換を行いました。
**第1分科会(経済)**では、「成熟社会における都市の価値と持続可能な経営」をテーマに、地域資源の有効活用や都市の魅力向上に向けた取り組みが共有されました。歴史や文化を活かした観光振興や、循環型社会を目指す技術革新、産業振興と環境保全を両立させる施策が紹介され、地域経済の持続的な発展について意見が交わされました。
**第2分科会(社会)**では、「全ての人の参画と連帯」をテーマに、包摂的な社会づくりについて議論が行われました。地域社会の絆を深めるための市民参加や、連帯と共助を促進する施策、高齢者や若者が活躍できる環境づくりが共有され、対話を重視した地域政策の重要性が確認されました。
**第3分科会(環境)**では、「脱炭素社会の実現と魅力ある地域づくり」をテーマに、持続可能なまちづくりが話し合われました。自然と都市機能が調和する環境づくりや、クリーンエネルギーの活用、住民参加による環境保護活動が紹介され、地域課題の解決と環境保全を両立させる方策について意見が交わされました。
分科会を通じて、参加者は経済・社会・環境の観点から持続可能な地域社会の構築に向けたビジョンを共有し、日仏自治体間のさらなる協力の可能性を確認しました。
21日の最終日には、全体会や分科会での議論の成果をまとめた「静岡宣言」が採択され、静岡市長がその内容を読み上げました。宣言では、地域資源の有効活用、包摂的な社会づくり、脱炭素社会の実現に向けた具体的な取り組みが確認され、日仏自治体間のさらなる連携強化が誓われました。
また、次回第9回日仏自治体交流会議が2026年にフランス・カンヌ市で開催されることが発表され、3日間にわたる会議は閉幕しました。
様々な課題を共有する日仏の自治体トップが集う本会議は、地域の発展のための貴重な機会であるとともに、日仏両国の友好関係にも大きく寄与しています。次回、2026年にカンヌ市において、多くの参加者の皆さんとお会いできることを楽しみにしています。
集合写真 ⒸComEx8RFJ |
Table ronde全体会議 ⒸComEx8RFJ | 匠宿(たくみしゅく)工芸品づくり体験 ⒸComEx8RFJ |
あさはた緑地視察 ⒸComEx8RFJ | 静岡浅間神社 ⒸComEx8RFJ |
茶畑視察でのティータイム ⒸComEx8RFJ | 富士山 ⒸComEx8RFJ |
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