道後温泉本館の起源はエクス・レ・バンにあり!?「Matsuri」で日本の自治体をPR
2025年5月30日から6月1日にかけて、クレアパリ事務所はフランス南東部の温泉地エクス・レ・バン市(以下、「エクス市」)で開催された日本文化発信イベント「Matsuri」にブースを出展しました。
会場となったCassino Grand Cercle
このイベントは、エクス市と在リヨン日本領事事務所が共催しており、前回2023年の開催時には4日間で約8,000人を動員するほどの盛況を見せました。その成功を受け、「Matsuri」は隔年開催されることとなり、2025年は第3回目の開催(初回は2016年)となりました。
クレアパリ事務所は在リヨン日本領事事務所の依頼を受けて本イベントに参加し、パンフレットの配布などを通じて松山市を中心とした日本の自治体の魅力をPRしました。
松山市には、松山城をはじめとする多くの観光名所がありますが、そのうちの一つが日本最古の温泉とも言われる道後温泉です。一方、エクス市も温泉の保養地として長い歴史を持ち、イベントにはエクス市からだけでなく、近隣のシャンベリー市やアヌシー市からの来場者、さらには治療のために訪れている人も見られました。
松山市とエクス市は2025年1月から交流を開始しており、そのきっかけの一つが両市に共通する「温泉」という資源でした。
司馬遼太郎の名著『坂の上の雲』の主人公の一人であり日本近代騎兵の父とされる秋山好古は、1887年から3年間フランスに留学をしています。その間、エクス市の温泉を中心としたまちづくりに感銘を受けた秋山は「伊予の国もこのようであるべきだ」との思いを記した手紙を松山藩士であった父に送り、その数年後、道後温泉本館が完成したとも言われています。こうした経緯と在リヨン日本領事事務所の働きかけにより、両市の交流へと繋がりました。
クレアパリ事務所のブースには、カップルや家族連れ、お年寄りなど幅広い世代の人たちが訪れました。来場者は日本各地のパンフレットを手に、「日本を訪れるならどの季節がいいですか?」「子連れで楽しめる場所はどこですか?」など、熱心に質問していました。
松山市は、東京・京都・大阪といった「ゴールデンルート」と比べると知名度は高くありませんでしたが、エクス市と温泉を通じて繋がりがあること、交流が始まったばかりであることを知った来場者たちは、「次回の日本旅行では松山市にも行ってみたい」と楽しそうに話していました。
松山市とエクス市のように、歴史的な背景と共通の文化資源によって結ばれた地域同士の交流は人々の関心を引きやすく、日本の自治体に対する理解や興味がより深まることを実感しました。今回のようなイベントを通じて、今後の日仏間の地域レベルでの交流や、相互理解の促進へとつながっていくことを期待しています。