スタートアップ企業に優しい街「パリ」
近年、パリ市ではスタートアップ企業を受け入れるためのインキュベーション施設が続々と開設されています。インキュベーション施設とは、起業や創業をするために活動する人を支援する施設です。
2016年3月初旬に、文化やデジタルコンテンツを専門分野とするインキュベーション施設Le Cargoがパリ北駅近くの19区に完成しました。この施設は、パリ市、パリ市が筆頭株主の不動産事業会社、イル=ド=フランス州の共同出資により運営されています。さらに、2017年には世界最大級のインキュベーション施設がパリ市内に誕生する予定となっています。
また、パリ市はインキュベーション施設の整備というハード面だけではなく、起業に係る様々なプログラムも用意しています。例えば、パリ市と民間企業によって運営されるParis&COは、起業する人の分野にあわせて、観光産業、スポーツ産業、最新技術分野など9つのプログラムを提供しています。
今回、18区にあるインキュベーション施設を訪問したので紹介します。2700平方メートルの建物に、40社入居することが可能です。ミーティングスペースも用意されており、入居者は無料で使用することができます。入居に当たっては審査があり、この施設に入居できるのは情報技術、デジタル分野、健康産業などに関するスタートアップ企業となります。入居者はオフィスの空きスペースを他の企業に貸すことも可能で、同じスペースに複数の企業が入居しているということもあるようです。入居されている企業にお話を聞いたところ、企業側にとっての入居メリットは、安価で設備の整った場所に入居できるというだけではなく、同業種のスタートアップ企業が入居し、刺激を受けることでビジネスのアイデアが広がるとお話されていました。新しいアイデアを持つ起業家を集積させることで、新たなビジネスをパリ市に創出することができるのではないでしょうか。
左上:施設外観
右上:入居者一覧
左下:ミーティングスペース