パリ事務所(クレア・パリ=CLAIR PARIS)は、日本の地方団体のフランスにおける共同窓口として、1990年10月に設置されました。

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日欧地域連携年次会議 トレンドセッション

(3)日欧地域連携のトレンドセッション 

~日欧地域連携に取り組む日欧各地域から具体的な取組事例発表

 

〇アルファRLH(ヌーヴェル・アキテーヌ州,フランス)

ジャパン・ミッション・オフィサー ロマン・モンティニ 氏、プロジェクト・マネージャー アリシア・ラファイエ 氏

“PIMAP+, ディープテクノロジーにおける日本との協力を促進する欧州プロジェクト”

・拠点はボルドー地域。フォトニクスとレーザー、エレクトロニクスとマイクロ波の2つのテクノロジーが中心である。この2つのテクノロジーで4つのマーケット(ヘルスケア、航空宇宙、国防、通信セキュリティ、エネルギー、スマートビルディング)を狙っている。また、分野横断的にデジタル技術も狙っている。

・私たちのクラスターには約300の会員がおり、そのうち200以上が企業で、うち、ほとんどが中小企業。国際事務所を中国と米国に持っており、現在24名の体制で動き、年間40のイベントをホストしている。 

・「PIMAP+」というプロジェクトを欧州委員会とのタイアップで、ヨーロッパで進めている。スウェーデン、フィンランド、ポルトガル、イタリアがメインパートナーとなっており、全てフォトニクスのバリューチェーンをカバーしている。テクノロジープロバイダーだけではなく、インテグレーター、エンドユーザーも入っている。フォトニクスの上流から下流までカバーし、航空宇宙、 アドバンスマニュファクチャリング、製鉄業の3つのマーケットを対象に、会員中小企業を4つの輸出市場(アメリカ、カナダ、中国、日本)に進出させることを狙っている。

・来年度は日本へビジネスミッション団を送り、我々の会員をアピールしたい。

・日本に事務所を開設したのは、会員が日本市場に関心を持っていたこと、日本は科学技術のリーダーでもあり、特許の集積も大きく、メンバーの関心にもあう新たな可能性のある市場であるため。一方で、距離が遠いことから現地にいた方がよく、ビジネスをするためにも文化の違いを知らないといけないということもあった。現地へ足を運んで、コンタクトをとることが重要と考え、それによって、パートナーを特定することが大切だと考えている。

・まずは、ステークホルダーとネットワークの構築づくりをし、ヌーヴェル・アキテーヌ州のアカデミアと企業のプロモーションし、最終的にビジネスをとっていく。企業のビジネスや市場アクセスの便宜を図り、更にはイノベーション開発を進めている。

・見本市やフォーラムがあるたびに、会員代表として、会場に足を運ぶことを大切にしており、日本事務所へコンタクトをとってもらうことでビジネスを更に発展させたい。

 

〇茨城県

茨城県営業戦略部国際ビジネス推進監 綿引 伸一 氏

“欧州とのビジネスの架け橋 ~ 茨城県のビジネスマッチングサポート ~”

・ つくばは、最先端の科学技術の集積地で、日本の国等の研究機関の 30 %以上が立地。約2万人の研究者がおり、そのうち8,000人は博士号保持者、7,000人は外国人研究者である。

・つくばには、つくばライフサイエンス推進協議会(TLSK)という、つくば国際戦略総合特区の基盤組織として設立された団体がある。ミッションは、ライフサイエンス分野における共同研究・開発を促進することである。

・ メンバーは、60機関以上あり、筑波大学や国等の研究機関をはじめ、アステラスやエーザイといった世界的な大手製薬企業も含まれている。

・ TLSKの成果としては、ヒト組織バイオバンクセンターの運営や、病気予防のためのゲノム編集による機能性を強化した農作物の開発などである。

・ 茨城県とつくば市は、2020年7月に内閣府からスタートアップ・エコシステム東京コンソーシアムのグローバル拠点都市に選ばれた。

・ 東京とつくばなどの研究開発拠点の集積エリアを結び、更にスタートアップを生み出していく計画である。

・現在においても、つくばからは、350以上のスタートアップが誕生している

・ 中でも、筑波大発のスタートアップ「サイバーダイン」は、ドイツ・ボーフム市に拠点を持ち、脊髄損傷や脳卒中を含む脳・神経・筋疾患の患者に対する機能改善治療を提供している。

・本県でのビジネスに関心のある欧州企業と、県内の大学、研究機関、企業等を結びつけるため、マッチングイベントを開催している。

・茨城に参加いただいた海外企業からは、茨城に立地することを決めたという声や、茨城県のおかげで日本におけるネットワークが広がったという感想をいただいている。

・より良いビジネスマッチングを行うため、私たちのチームには対日投資アドバイザーがいる。アドバイザーは、ライフサイエンス分野の専門家で、研究者や企業と幅広いネットワークを持っている。海外企業の技術的ニーズを聞き取り、適切な県内の研究機関や企業とマッチングを行う。

・誘致ターゲットとしている分野は、ライフサイエンス分野における研究開発型の企業と、IoTやロボティクスといった革新的技術を持った企業である。日本で研究開発のためのパートナーを求めている企業や、日本に研究開発拠点の設置を考えている企業の力になれる。

 

〇エナジー・エージェンシーNRW(ノルトライン・ヴェストファーレン(NRW)州,ドイツ)

インターナショナル・リレーション・ヘッド・ステファヌス・リンカー氏

・NRWはドイツのパワーハウス。エネルギー州としては、ナンバー1で、数十年前から、エネルギーエージェンシー、エネルギークラスターをつくり、エネルギー転換、DXを行っている。

・NRW州と福島県の連携の始まりは2011年3月11日の東北大震災のときからだが、政策的な枠組みは2013年にはじまっている。県が関わって、2014年に共同宣言し、2017年にはMOUが拡大された。様々なトピックで多様な訪問団がお互いを訪問しているが、実際オペレーショナルなスキームをもっていることが重要。

・エージェンシー同士だけではなく、例えば、JETROデュッセルドルフ事務所や日本の総領事館がパートナーになっている。エネルギーエージェンシーが東京にオフィスを構えるという機会にもなった。

・連携では、お互いに訪問し合い、福島のクラスターの中でも特に福島県再生可能エネルギー関連産業推進研究会という既存のクラスターと連携した。

・エネルギーエージェンシーふくしまが、私たちのシスターエージェンシーとして2017年にスタートし、同年にMOUを調印し、更新されている。

・パワーグリッドとも連携して情報を交換している。テクノロジーをどのようにGOTOマーケットに持っていくかが重要と考えている。

・エージェンシーが知識を独占するのではなく、企業へ還元していく、それにより連携を進めていくことが必要である。これが我々の課題でもあり、そのためにもマッチメイキングを行っている。特にプロジェクトベースで関連企業の顔合わせができるようにしている。

・JETROのリージョナルタイアッププログラムの援助も受けていた。B2Bミーティングでは、知事や副知事の来場、セミナーでの議論、一般セミナーの開催を行ったりしている。パートナーシップは多岐にわたっており、特にエネルギーエージェンシー同士のシスター提携ということから、政治の支援を受けている。ビジネス開発もしている。サッカーチームのようにワンチームで、たくさんのトピックを持ち寄り、充実した交流を続けている。

・福島でのREIFという展示会に、現地の3社とNRW州の5社がオンラインで参加した。また、今年の四半期には、東京ではFCエキスポがあった。福島県庁とともに山梨や東京にも訪問している。両エネルギーエージェンシーで月一のバーチャルミーティングを行い、政治的な枠組み、政策的な枠組みも話し合っている。

・今後もエネルギーに関しての非常に幅広い情報交換、相互からチームを派遣し、混成して、課題を話し合うサマーキャンプ、日独の相互訪問、セミナーやワークショップをオンラインで行いたい。また、県やJETROの政府機関の支援受け、大阪や山梨との連携も強化したい。

 

〇仙台市 

仙台市産業振興課課長 荒木田  理 氏

“仙台市BOSAI-TECHイノベーション創出促進事業”

ー 欧州と産業に関わる取組について

・2005年に健康福祉機器の開発支援の協力を主な目的とする、フィンランドとの協力関係に関する覚書を締結した。この協定を機に介護施設と併設するインキュベーション施設を仙台市内に設置し、近年では介護とIT技術の融合をテーマに「ニーズリサーチ」、「製品開発」「実証実験」「導入・販路拡大支援」までをワンストップで支援する取り組みを進めている。

・また、フィンランド北部最大の都市であるオウル市(ノキアの拠点都市としてITが盛ん)とは、同じく2005年から「産業振興のための共同インキュベーション協定」を締結。本協定は特にICT、スタートアップ支援、ヘルスケア、文化交流の4点が柱になっている。この協定から発展し、2017年10月にフィンランドを代表するノキア社ともIT技術等を活用したまちづくり及び地域産業活性化に関する連携協定を締結し、ドローン等による防災領域における連携などを進めている。

・ノキアとの連携事業が、世界初となる完全自律型津波避難広報ドローンの導入である。2019年11月には、協定に基づき、仙台市沿岸部でプライベートLTE通信網と津波避難広報ドローンの実証実験を実施。2021年度には、沿岸部に実装予定である。

ー 防災をテーマとしたICTサービスの開発による、世界の災害リスクの低減を目的とした「防災テック・イノベーション・エコシステム創出」の取組について

・震災復興の取組みを進める中で、2015年3月に仙台市で第3回国連防災世界会議が開催され、「仙台防災枠組2015-2030」が採択された。この枠組は、SDGs ターゲット11.bにも引用され、「仙台防災枠組に沿って、あらゆるレベルで総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う」旨が明記された。

・この仙台防災枠組の基本理念に基づき、ICTを活用したソリューションを社会に実装することで世界の災害リスクの低減に貢献できると考えている。

・具体的な取り組みが「BOSAI-TECHイノベーション創出促進事業」である。取組の柱は、オープンイノベーションによるデジタル技術を基軸としたソリューション開発、取り組みの基盤となる産学官金連携によるプラットフォームの構築、世界の「新たな防災市場」への展開の3本である。

・本市がフィンランドと実施したオープンイノベーションの事例としては、2019年度に津波などの危険地域を事前に知らせる新しいソリューションを開発するために、フィンランドからICT企業を8社仙台に招き、ハッカソンを開催したことがある。最も優秀な提案を行った企業と、2019年3月に仙台市沿岸部でPoCを実施。仙台への進出や防災ソリューションの実装に向けて協議もしている。

・2020年、海外企業連携によるソリューション創出プロジェクトは、ジェトロ・経済産業省が公募する事業で、採択を受けた仙台市及び福島県の共同プロジェクトであり、世界各国から防災分野の革新的アイディアを募集し、国内大企業との防災ソリューション創出を支援するもの。オウル市、ビジネスフィンランド、ノキア、東北大学災害科学国際研究所などからサポートを頂いた。欧州を含む世界17か国37社から、AI、IoT、VR、ドローンなど先進的な技術をもった海外企業から応募をいただき、昨年11月に9社を採択した。

・今年3月上旬には、採択された海外企業9社から国内パートナー企業へのピッチイベントを実施し、PoCや協業に向けた連携を継続する事例も出ている。仙台市としては、今後も、防災ビジネスの事業化や海外企業の誘致に向けて、東北大学の世界最先端の知見を活かしながら、引き続き支援していく。

・2030年までの防災テック事業のロードマップとしては、オープンイノベーションプログラムなどを通じた参加企業や教育機関の募集、ICTソリューション開発支援、企業・団体間の連携を促進するオープンイノベーションプラットフォーム形成、そして国内海外の市場展開に順次取組み、2030年には防災イノベーション・エコシステムを形成し世界の防災リスクの低減に貢献していく。国と東北大学災害科学国際研究所では、2023年を目途に防災の規格化、ISO化を進めており、2023年以降エネルギー、防災情報、インフラ、保険、ツーリズムなど、あらゆる分野においてこの防災ISOの適用が見込まれている。本取り組みで開発されたソリューションについても国際展開に向けてISO化を考えている。

 

〇ヴィタゴラ・クラスター(ディジョン,フランス)

コミュニケーション・マネージャー マーサ・ジュウェル氏
クラスター連携による緊密な日仏食品農業ビジネス関係の構築

・我々は農業イノベーションクラスターで、フランス・ディジョンが拠点。パリや熊本にもオフィスがある。創設は、2005年。政府、フランシュ・コンテ州、イル・ド・フランス州から支援を受けている。

・クラスターの会員数は、フランス内外に570。会員には2つのカテゴリーがあり、1つ目は農業食品企業(中小企業、スタートアップから多国籍企業まで)で、2つ目のグループは、ナレッジプロバーダー、エキスパート、イノベーター、研究者、テクノロジーエキスパートなどである。互いに協力しながら、イノベーションや国際開発のゴールを目指している。

・2017年にアクセラレーセーションラボを発足。50のスタートアップを選定し、支援している。国際開発は、イノベーションクラスターには不可欠の要素であり、戦略の中核においている。イノベーションのエコシステムを構築して、世界中のパートナーに加わってもらっている。

・2020年には日本事務所を開設、今年の夏にはルワンダ事務所をオープンする。事務所の役割は、クラスターや研究所との連携。提供しているのは、イノベーション・エコシステムへの相互アクセス、パートナー会員ネットワークへのアクセス、市場アクセス、文献発表、欧州ビジネスへのエキスパートサポートなどである。欧州企業が欧州外へ出ていくときのサポート、更にはクラスター構築のベストプラクティスの共有も行っている。

・創設してまもなく、インターナショナル・ナレッジマッピングを実施して、農業食品の戦略的市場はどこか、ナレッジクラスターはどこかを特定してきており、その中で日本が我々の国際的発展の市場だということが分かった。

・日本向け開発プログラムをつくり、入口になる既存のクラスターとの関係をはぐくんできた。日本には、既存のクラスターとのネットワークがあり、我々の玄関口になってくれた。そこを通じて、日本の市場へアクセスしている。メインパートナーが重要で、我々にとってはKBCC(九州地域バイオクラスター推進協議会)だった。相互訪問することで、互いに文化的な側面も把握、理解しながら連携してきた。

・パートナーシップを構築し、ビジネスイノベーション提携として結実したものに対して、我々は援助してきたほか、相互のビジネスミッション、ビジネスや研究者の招へいも行った。日本の3つの団体・企業は、ヴィタゴラの会員になってくれている。MOUをKBCCと締結し、我々は熊本県にヴィタゴラジャパンオフィスを開設し、アグリフードエンジニアを常駐させている。オフィスでは、両クラスター間の技術的、知識のサポート、ツールを提供している。市場へのアクセスを加速化させ、国際的なマッチメイキング、必要なパートナーの特定などサポートをしている。KBCCとお互いのリソースにアクセスが可能になっているので、クラスターマネジメントのサポートや、アクションプランの展開といったサポート、戦略インテリジェンスもリソースへアクセスが可能となっている。

 

〇岐阜県

岐阜県観光国際戦略アドバイザー 古田 菜穂子 氏

“岐阜県のインバウンド戦略~サステナブル・ツーリズムの促進~”

・県の観光の基本戦略は、地域資源や伝統文化資源を磨き、それらの魅力を国内外へ積極的にプロモーションし、評価向上を促すことである。

・地域資源を磨き、観光資源化する「岐阜の宝もの認定プロジェクト」と、磨いた資源を世界に発信する「飛騨美濃じまん海外戦略プロジェクト」の2つを両輪として 「GIFUブランドの確立」を目指してきた。「岐阜の宝もの認定プロジェクト」では、今から12年程前より、ここにあるようなさまざまな地域資源を発掘し、それらを「岐阜の宝もの」として認定し、磨き、観光資源化とともに地域の自然や文化の継承にも取り組んできた。そこで大切にしてきたのが、地域の持続可能性、サステナブル・ツーリズムの実現である。 その結果、県の観光資源が「点」から「面」へ変遷し、まさに県内の観光が、長期滞在型 のインバウンドに適した観光地へとなっていった。

・そうして出来た観光資源を国内外にアピールし、岐阜県産品や、飛騨牛などの高級食材の販売促進につなぐのが「飛騨美濃じまん海外戦略プロジェクト」で、2012年からは欧州各地へのプロモーションを開始しました。このプロジェクトの大きな特徴は、知事のトップセールスとともに「観光」「食」「モノ づくり」を一体にしたプロモーションを行うことである。

・さまざまなプロモーションを行ってきた中で最も大切にしてきたのは、各国へのプロモーションを一過性のものにしないこと。 ターゲット国には最低3年間は継続してプロモーションし続け、現地でしっかり県の観光、 食、ものづくりなどをアピールしていただけるカウンターパートをつくることである。その結果、岐阜県へのインバウンド観光客は、ここ10年で飛躍的に伸び、観光の促進にともない、農畜産物の輸出量も伸びた。

・県産品の継続販売拠点としてのGAS(グローバル・アンテナ・ショップ)は、世界8ヵ国13 店舗を開拓し、木工、陶磁器、和紙、刃物など約100社の商品が取扱われている。現在、インバウンド観光はコロナ禍の影響で皆無だが、飛驒牛や岐阜県産品の輸出は継続されており、現地の方々による岐阜県プロモーションも行っている。

・昨今は、特にサステナブルに注力したプロモーションを続けており、例えば、世界農業遺産に認定された長良川システムによるアグリツーリズムや環境システムのアピールや、 命のビザで知られる岐阜県出身のもと外交官・杉原千畝にちなんだ人道観光など様々な分野で展開している。これらは、SDGsの理念の具現化であり、岐阜県の強みである。文化の継承、歴史や人道精神の継承など、すでに10年以上前からSDGsに叶った取組みやインバウンドを進めてきた。

・観光用に造られたものではなく、人々の暮らしの中に息づくサステナブルな観光として、新たなプロモーション展開をはじめた。 テーマは“日本の源流に出会う旅“-Timeless Japan, Naturally an Adventure。 ここで伝えたいイズムは、「岐阜県の豊かな自然に身をゆだね、人々が大切に受け継いできた伝統、日常の暮らしや文化に触れ、日本人の魂を感じてほしい」ということである。 

・今後は「サステナブルを踏まえたブランディングをプロモーション活動に反映し、INSTOへの加盟や、GSTCの認証取得」に向けた取組みを進める。そうして名実共に世界から認められるサステナブル・ツーリズムの先進県を目指していく。