パリ事務所(クレア・パリ=CLAIR PARIS)は、日本の地方団体のフランスにおける共同窓口として、1990年10月に設置されました。

A+ A A-

日欧地域連携年次会議 政策セッション

(2) 日欧地域連携政策セッション 「日欧地域連携の政策とこれから」 

〇JETRO

企画部主幹 岡野 祐介 氏

・ジェトロは政府機関で貿易と投資の促進を担っており、近年、貿易では中小企業の輸出に力点を置いている。投資では対日投資に特に重点を置き、EUに13のオフィス、日本では47都道府県全てにオフィスを構える。

・日本政府の重要政策の一つとして「地方の創生・地方の経済活性化」があり、ジェトロも政府の方針に沿って事業を実施している。

・これまで日本と海外の地域間の産業交流を促進する事業(RIT事業)、調査、商談の実施、海外からの招へい等を実施している。RIT事業は2020年度を以って終了したが、RIT事業終了後も自治体が海外と独自に交流している事例もある。

・以下は、ジェトロが支援した日欧地域の産業交流に関する事例。

 ①ドイツ、ノルトライン・ヴェストファーレン州と福島県(テーマ;再生エネルギー)

 ドイツ企業の福島での商談会への参加、福島県企業のドイツでの商談会参加といった非常にアクティブな交流を行なっており、個別企業同士の取引、技術提携の話も複数進んでいる。福島県が ドイツ側とのコンタクト窓口となり、県内企業の海外ビジネスサポートをするためのコーディネーターを配置している。

 ②ドイツのNRW州、ヘッセン州と山梨県(テーマ;水素・燃料電池)

 山梨県に業界に通じた大学の研究者の方等がいることに加え、多数の水素・燃料電池分野に関連するプレーヤーを持つドイツ・NRW州のエネルギーエージェンシーや、ヘッセン州のH2BZも協力機関として参画した。2020年初頭に山梨県から中小企業5社がNRW州、ヘッセン州を訪問し商談会を実施している。日本からの製品の輸出や共同研究で成功の見込みがある事案もあった。

 ③バーデン・ビュッテンベルグ(BW)州と熊本(テーマ:医療・福祉機器)

 2021年初頭にジェトロは熊本とドイツ企業関係者のビジネスミーティングを企画。現在では、個別企業間での商談が行われている。

・外国企業誘致に積極的な自治体を選定し支援する「地域への対日直接投資サポートプログラム」を実施している。プログラムは政府と共同で実施。プログラムは外国企業誘致や外国との交流に意欲的な自治体約30を選定し、地域の特色を勘案し支援を展開している。

・Regional Business Conference(RBC)というプログラムを2018年から自治体への支援として実施している。このプログラムにより、自治体が誘致を希望する外国企業等をジェトロの海外ネットワークを活用し、招へいしている。地元企業や大学等との連携や協業を促し、最終的には日本への投資が目標である。

  ・RBCを通じた日本の地方企業と欧州企業との協業例としては、大阪市で2019年3月に実施されたRBCを機に、デンマークのアクセラレーターであるRainmakingが大阪に支社を設立し、阪急電鉄など6社と共に大阪市でスタートアップ支援プログラムを開始したものがある。

・2021年度もRBC事業は引き続き実施。3つのテーマ(ヘルステック、ファクトリーテック、トラベルテックを予定)で日本への投資に関心のある外国企業を募集し、自治体やその地域の企業とのマッチングを行う。

 

〇愛知県 

愛知県経済産業局長 伊藤 浩行 氏

“イノベーションを創出する愛知”

・愛知は、地理的にも経済的にも日本の中心。将来的には、東京-愛知・名古屋間をわずか40分で結ぶリニア中央新幹線が開業予定。移動時間が大幅に短縮されることにより、東京を中心とする首都圏と愛知の都市圏が一体化し、人口5千万人、GDPが2兆ドルを超える巨大な経済圏が誕生する。愛知県の県内総生産は、4,030億ドル(40.3兆円 2017年度)で、東京に次いで全国2位。製造業が集積していることが強み。製造品出荷額等は、42年連続日本一。

・産業労働分野の中期的計画である、愛知県経済労働ビジョン2021-2025のうち、「次世代産業の振興・イノベーションの創出」、「グローバルな産業拠点機能の向上」の2つが欧州と関わる取組である。これらを実現するために、欧州の高度でイノベーティブな産業にアプローチしている。

・1つ目は、航空宇宙産業の振興で、アジアでNo.1の航空宇宙産業クラスターの形成を目指しており、海外の先進地域との連携により、持続的な航空宇宙産業の発展を推進している。具体的な取組では、2018年6月5日にフランスオクシタニー地域圏とMOUを締結。主な締結内容は3つあり、2つ目に航空宇宙産業における連携・協力が明記されている。

・航空宇宙産業振興のため、地域の行政、支援機関及び大学で構成する「あいち・なごやエアロスペースコンソーシアム」を設立し、愛知・欧州相互の展示会等に参加するなど、経済交流を深めている。

・最近では、パリ・エアショー2019において、オクシタニー地域圏政府と愛知県の両地域の企業間において、事前に双方のニーズを調整した上で行うマッチングやネットワーキングイベントを実施すると共に、オクシタニー主催のレセプションへの招待を受け、両地域の企業の交流を促進。

・エアロマート名古屋2019において、オクシタニー地域圏と愛知県が共催で両地域の航空宇宙産業関係の企業、大学、行政及び支援機関を一堂に集めた交流会を開催するととともに、オクシタニー地域を始めとした欧州と愛知の参加者が交流するイベントを実施している。

・2つ目は、スタートアップ支援で、海外の先進的なスタートアップ支援機関・大学との連携等により、世界有数のスタートアップ・エコシステムの形成を推進している。具体的な取組としては、愛知県内のスタートアップ企業に向けた支援プログラムの実施や、高度人材の交流を推進するために、NUS、米国テキサス大学オースティン校を始め、中国、欧州の大学や支援機関とも連携している。

・フランスとは、フランスのスタートアップ支援組織における先進的な取組を学ぶため、2020年度は、世界最高レベルのビジネススクールである「INSEAD」、パリ市の経済開発公社「Paris&Co」、工学系高等専門大学院の「IMT Atlantique」と連携事業を実施。

・2021度は、引き続きINSEADとの連携プログラムやParis&Coとのセミナーを実施する。また、IMT Atlantiqueとは、2020年度のセミナーに参加した大学と同校の交流促進を支援する。さらに、新たに政府系金融機関「Bpifrance」とも、連携セミナーを実施する予定。

・2024年10月には、世界最高レベル、日本最大級のスタートアップ中核支援拠点となるStationAが、名古屋市内に開設する予定であり、フランスにある世界最大級のインキュベーション施設、Station Fを参考として建設する予定。フランス、アメリカ、中国、シンガポールなど、世界最高クラスの海外スタートアップ支援機関・大学との連携を通じて、世界最高品質のスタートアップ支援プログラム等をワンストップ・ワンルーフで提供する。

 

〇コシツェ州(スロバキア)

州知事付外務・外交エグゼクティブ・アドバイザー、諮問委員会委員、コシツェ州観光・クロスボーダー連携委員会委員 ユライ・セマン 氏

“コシツェ州による地域外交、アジアン・ジャーニー”

・ユネスコ登録サイトが18か所もある地域である。330億円に相当する年間予算を持っており、第三国とも外交関係を結び、ビジネスモデルをつくり、カウンターパートを見つけ、連携している。

・各セクションで大きなイベントを打っており、イノベーションウィークをシンガポールと行ったり、香港との関係でも、有名なイベントに参加している。チャリーラム長官と直接対話している。

・昨年は、日本とスロバキアの友好100周年だった。コシツェ州の外交的な取組では、大使館やJETROや全日空との関係がある。コロナ以前は、公式訪問を受けたり、日本代表団とスロバキアカウンターパートナーとのビジネスネットワーキングの実施などに取り組み、両国の主要プレーヤーを通じて活動している。

・自治体間の外交としては、友好と相互理解に多大な貢献をしたため、日本文化ウィークエンドフェスティバルを開催したチーム贈るアンバサダーアワードの運営も行った。

・今後は、現在の日本大使の正式なご招待、ラウンドテーブルへの日本企業の参加、他の地域間とのMOU締結、日本からのインバウンドの強化等を進めていきたい。また、国際プラットフォームを使って、スロバキアのプレーヤーをアピールしていきたいし、大阪万博でもプレゼンをぜひ行いたい。

・過去2年間では、日本企業による大型買収案件が3件あった。我々の地域の日本の直接投資が22%増大している。

・コシッツェ技術大学(PUKE)は欧州粉末冶金R&Dセンターに宣伝されており、ブリュッセルの欧州粉末冶金協会(EPMA)から認証済みである。

・コロナ禍においては、スロバキアスペーステックデーとスロバキア航空産業デーという重要なオンラインフォーラムを開催した。2019年には、富山で講義をしている。我々の大学と富山大学のMOUにより、関係機関との共同ラボ開設を期待している。

・ニュービジネスの機会がでてきており、日本だけではなく第三国とも、また観光やサイエンスの分野にも力を入れていきたい。

 

〇大阪府バイオヘッドクォーター

 大阪府商工労働部成長産業振興室 ライフサイエンス産業課 参事 野村 和秀 氏

“大阪と欧州クラスターの戦略的パートナーシップ ”

・日本を代表する製薬企業は大阪が起源。我が国の製薬、化学産業の近代化をリードしてきた。

・大阪北部を中心に、大阪大学をはじめとするライフサイエンス関連の優れた大学、研究機関が多数立地している。

・大阪大学発のスタートアップの数は、東京大学、京都大学に次いで多く、京大発のそれと合わせると300以上に及ぶ。大阪・関西の研究・科学技術のリソースは日本有数である。

・強みを活かし、府内ライフサイエンス関連企業のグローバル展開を支援するため、国際展示会等で大阪のポテンシャルをPRし、海外のクラスターとは、展示会での面談等を通じて相互理解を深めてきた。

・2011年には、ドイツ・バイエルン州のBioMと大阪府との間で、ライフサイエンス分野での連携強化に向けた協定書を締結。両地域には、世界トップレベルの大学・研究機関や製薬企業が多数集積するほか、グローバル企業とそれを支える中小企業の存在など多くの共通点があり、産学官連携の推進や商談機会の提供をはじめとする中小ベンチャー支援など、めざす方向が一致。協力関係が深化してきた。

・2016年には、欧州4か国にまたがる合同クラスターbioXclusters(西biocat, 独BioM, 伊bioPmed / Bioindustry park, 仏Lyonbiopôle)との連携を開始。欧州のライフサイエンス分野の中小ベンチャーの国際協力を強化し、国際展開を支援するための戦略的パートナーシップを確認した。

・これら欧州クラスターのほか、各国大使館・総領事館のサポートもあり、これまで緊密な日欧協力関係を構築している。

・2016年からは、この協力関係を活かし,日欧のライフサイエンス関連企業が参加する商談会を、毎年実施するなど、EU各国及びその企業等との交流を深めてきた。

・昨年は初めてオンラインで3日間開催。日欧産業協力センターと連携し、欧州クラスターのご支援をいただきながら、強固な協力体制のもと実施できたことは、これまでのあゆみの成果である。

・オンライン商談会には、日欧で合わせて150社を超える企業が参加。400件近くの商談が行われた。海外からは、フランス、ドイツなど、欧州19か国からご参加いただいた。

・コロナ終息に向けて、昨年、大阪の再生・成長に向けて取り組むべき方向性を明らかにする、「大阪の再生・成長に向けた新戦略」が策定された。

・これまでの大阪の成長戦略を継承し、ポストコロナに向けた再生・成長の重点分野のひとつに「健康・医療関連産業のリーディング産業化」が位置付けられており、我々は健康・医療関連産業の世界的なバイオクラスターの形成をめざしている。

・しかしながら、大阪・関西にはライフサイエンス分野の企業や研究施設が集積していることは知られていないのが現状。

・欧州商談会や、府の取組みの基軸のひとつである大阪万博を通じて、関西のバイオコミュニティをブランド化し、その結果として世界から人材や投資を呼び込めるようなエリアに育てていきたい。

・EUとの交流や欧州商談会は、2025年大阪万博に向けた弾みにもなる。万博のテーマは、『いのち輝く未来社会のデザイン』。 ライフサイエンス領域の研究開発の発展について、皆様の目に触れる良い機会も用意されている。今後も皆様と連携しながら、大阪・関西のライフサイエンス産業の推進に貢献していきたい。

 

〇グランテスト州(フランス) 

副ジェネラル・マネージャー イザベル・クーン 氏

 “グランテスト AIプラン” “Grand E-nov +”

・欧州の中央にあり、3つのテリトリー(アルザス、ロレーヌ、シャンパーヌ・アルデンヌ地方)がある。フランスの中で、第2の産業が盛んな地域であり、大企業が立地している。

・デジタルの取り組みでは、スマートリジョンを目指した取り組みを実施してきた。例えば、リセ4.0というプログラムは、コロナ禍で大きな役割を果たした。ラップトップを貸与するというもので、オンライン授業にスムーズに移行できている。わが州はフランスの州で初めて、ブロードバンドネットワークを都市部だけでなく、村落や過疎地にも展開した。

・グランテスト州復興計画というビジネスアクト・グランテストを通じて、インダストリー5.0化、エコロジーへの転換、DX、という3つの優先事項を設定している。これにより、80の具体的取り組みと40の主要プロジェクトが発足。いくつかは、AI、サイバーセキュリティ―、クラウドサービス、あるいは欧州プロジェクトに関連したものである。

・主な課題は、企業と地域のDXを加速すること、地元のソリューションプロバイダーの成長、イノベーション支援である。これらの課題にこたえるために、全てのステークホルダーが物事をスムーズに進められるよう連携の取り組みを強化してきた。ステークホルダー全員に協力を求めて、欧州連携・国際連携の強化を目指している。戦略の一つの例が、2019年にスタートしたAI計画。AIを通じて地元企業の競争力を増大し、またアカデミアの力を知ってもらうことを目指している。目標は5つあり、先に述べた企業の競争力の他、サイエンスのエクセレンス支援、AIのスタートアップの活性化、スキル開発、AIの倫理性・透明性を保障することである。

・効率を上げるため、グランテスト州では3つ(ヘルスケア、産業用、バイオエコノミー)のマーケットのみに注力し、この計画で、3億5000万ユーロの投資を5年間で行う予定。

・わが州の強みは、研究者の能力が高いこと、銀行保険分野で世界最大のIBM、AIセンターをホストしていることである。

・AIソリューションプロバイダーのエコシステムは、ほとんどがスタートアップ企業で構成され、いまでは100社を超えている。AIテクノロジー、AIユースに特化した企業である。このネットワークにはインキュベーターがあり、地域のアクセラレーターもある。日本の企業も3社ある。他のスタートアップもぜひわれわれのスタートアップのエコシステムに参加してもらえたらと思う。

・AI計画の一つの例として、企業診断でAIプロジェクトを特定し、その実施に財政支援をしている。この作業にソリューションプロバイダーのマッピングを活用しており、ニーズにこたえられる企業がお互いに直接コンタクトできるようにしている。スキルについては人材不足が大きな懸念であり、グランテストでは新世代のデジタルスクール開講を支援している。

・日本との連携の意味として、アルザスは、日本の長い交流の歴史が背景にあり、代表事務所を東京や名古屋に事務所を開設している。日本企業が私たちの州に進出する際や、地元企業が日本で展開する際の便宜を図り、経済、文化、言語のサポートを提供している。アルザス・欧州日本学研究所及びジャパンテッククラスターという2つの専門組織を持っているのが強みである。アルザス・欧州日本学研究所では、欧州での日本研究サポート、日本文化理解の支援活動、アルザスに進出した日本企業の役所やビジネス関係者コンタクトのサポート等を行っている。また、ジャパンテックは、グランテストにある日本企業のネットワークをつくることが狙いであり、現時点で40社を超えている。

・このクラスターには、欧州で唯一、日本の中小企業スタートアップに特化したインキュベーターがある。会員にプロジェクト開発、メンバー支援、ネットワークづくりなどサービスを提供している。