パリ事務所(クレア・パリ=CLAIR PARIS)は、日本の地方団体のフランスにおける共同窓口として、1990年10月に設置されました。

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フランスとの持続可能な姉妹都市交流、その秘訣は?

2018年9月3日、パリ事務所内にて、玉川大学観光学部鈴木シルヴィ教授、小林直樹准教授をお迎えし、「日仏姉妹都市交流の現状と課題‐持続可能な姉妹都市交流の構築に向けて‐」をテーマに所内研修を行いました。

1.研修概要

玉川大学観光学部では2017年度・2018年度にわたり、近年における日仏姉妹都市交流が活発に行われている要因、停滞している原因を究明し、持続可能な姉妹都市交流の実現に向けて改善策を検討することを目的とした共同研究を行っています。

共同研究1年目の2017年度は、日仏姉妹都市の日本側の自治体へアンケート調査及びヒアリング調査を行いました。2年目となる2018年度は、フランス側の自治体へ同様の調査を行います。今回の研修では主に2017年度の調査結果について講演いただいた後、パリ事務所職員との意見交換を行いました。

2.日本における調査から見えてきたこと

①交流目的の変化

アンケート調査で、姉妹都市を結んだときの交流目的と現在の交流目的についてたずねたところ、文化交流と人的交流については差がみられなかったものの、経済交流については、当初目的としていた自治体数より現在目的としている自治体数が減っていました。また、新たに「環境交流」を目的とすると答えた自治体もあったそうです。経済目的の交流の成果を出せていない可能性がある一方で、姉妹都市提携時にはなかった環境交流というテーマは最近の問題意識とともに発生した比較的新しい交流目的と言えます。

②日仏姉妹都市交流における課題・問題点

課題・問題点については、遠距離であること、予算や人員の不足、首長の交代による断続的交流が主な課題・問題点として挙がりました。

③交流が活発に行われる要因/停滞している要因

 交流が活発に行われる要因としては、以下の要因が挙げられました。

・自治体は補助金を支出するが、交流はあくまでも市民主体である。

・フランス人職員が比較的長く同じ課に在籍している。

・JETプログラムでフランス人国際交流員が国際交流課に勤務している。

・日仏自治体の首長が積極的に交流に関わっている。

 ・市民レベルでのキーパーソンがいる。

 逆に交流が停滞している要因としては、以下の要因が挙げられました。

 ・遠距離であること。

 ・市民の姉妹都市友好団体の高齢化が進んでいること。

 ・市民全体の関心度が低く、姉妹都市交流が一部の市民に限定されている。

 ・行政の縦割りで、文化交流や人的交流にとどまり経済交流に発展しない。

 ・フランスとの連絡のやり取りが難しい。(密でない、返信の遅れなど)

 ・市町村合併により補助金が減少したり、人口規模に差が生じたりした。

④交流の拡大に向けての提言

  これらの結果を踏まえて、鈴木教授、小林准教授は、持続可能な交流に向けての改善策として、以下を挙げられました。

・姉妹都市担当部署と他部署との連携により、多方面からの交流を図る。

・文化・人的交流の成功を踏まえ、経済・産業などのよりハードルの高い分野の交流に取り組む。

・市民に対して姉妹都市交流をアピールする取組を強める。

・キーパーソンを擁立する。

・姉妹都市の歴史的意義を担保しつつ交流が途切れないように環境を整え、長期的な視点で相互にメリットになる時期を待つ。

・フランス語圏のJETプログラムの国際交流員を採用して、コミュニケーションの支援のみならず、経済交流などにおいても協力してもらう。

3.意見交換

意見交換では、日仏の国際交流担当課が抱える共通の課題として、国際交流の意義や役割について、どのように住民や議会、庁内他部局の納得を得るかが非常に難しく、観光部門や産業部門など他の部局をいかに巻き込んでいけるかに苦心しているという話もでました。例えば、フランスでは法律により地方公共団体の海外活動が位置づけられていたり、日本でも自治体によって国際交流等の国際戦略を全庁的に策定していたりする例が挙げられました。(「東京都都市外交基本戦略」等)

また、経済交流の比重が下がっているという結果の一方、現在パリ事務所で関わるフランスでの自治体の経済面での活動は非常に活発になっている実態も紹介されました。姉妹都市交流の中には、次のステップとして、経済交流を検討するところもあるとのことで、具体的成果を生む難しさはあるが、国際交流の意義の一つとして経済面についても考えていく必要があるのではないかという話もありました。

この他、姉妹都市交流が停滞している要因の一つに挙がっているフランスとの連絡のやり取りについて、日本側自治体がフランス側自治体の連絡の遅れや頻度を要因としてあげるように、フランス側自治体も度重なる内容変更の連絡や2年から3年で担当者が変わってしまうことに対して交流の難しさを感じていることが挙げられました。

4.研修を終えて

日仏の地方自治制度や文化が異なるなかで、市町村合併や、連絡のやり取りに代表される日本とフランスの文化の違いよって生じる問題をいかに乗り越えていくかが、課題であると改めて感じました。一方で、JETプログラムの中でも、日仏姉妹都市交流においては、特に国際交流員(CIR)が交流の推進に大きな役割を果たしており、コミュニケーションの支援だけでなく経済交流においてもその役割が期待されていることから、パリ事務所としてもより一層、JETプログラムについて日本の自治体やフランスの応募者に対して積極的にアピールしていきたいと考えます。また、姉妹都市交流の深化に向けて、文化、人的、経済交流の様々な日仏の好事例やツール、ノウハウを蓄積するなどして、各自治体の活動が円滑かつ効果的なものとなるよう、取り組んでいきたいと思います。

 鈴木シルビィ教授、小林直樹准教授にこの場をかりて改めて感謝申し上げます。

研修の様子

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姉妹都市交流の詳細については以下をご参照ください。

パリ事務所ホームページ:http://clairparis.org/ja/action-jp/cd2-jp

東京本部交流親善課ホームページ:http://www.clair.or.jp/j/exchange/index.html

また、JETプログラムの詳細については以下をご参照ください。

日本語:http://clairparis.org/ja/about-jp/cp5-jp

フランス語:http://clairparis.org/fr/qu-est-ce-que-le-clair/programme-jet